ゾンビとは何なのか?ゾンビ映画史を語る上で外すことができない重要な作品・革新的な作品を中心にまとめた年代記。ホラー映画の重要ジャンルのゾンビ映画の萌芽期・胎動期(1930年代から70年代)、80年代の最盛期のスプラッターブームを支える「残酷ゾンビ映画」として、2000年代以降の最新作まで、ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」(1978年)など名作・傑作・珍作・ジャンルを革新した重要作品を中心に体系的に振り返るゾンビ映画の系譜(年代記)。各作品ごとにスプラッター描写(人体破壊描写)の見せ場となる残酷なグロ画像や動画が満載(作品のキービジュアルが中心)。非常に過激な残酷描写も多いため、苦手な方は閲覧をお控えください。
1960年代以前のゾンビクラシック・殿堂入り
『ゾンビ映画』の始祖『恐怖城』/『ホワイト・ゾンビ』(1932)

『恐怖城』(原題:White Zombie)は、1932年にアメリカで製作された映画。ゾンビをテーマとしたホラー映画の元祖である。世界初のゾンビ映画。主演はベラ・ルゴシ。監督はヴィクター・ハルペリン。再公開及びビデオ邦題は『ホワイト・ゾンビ』、『ベラ・ルゴシのホワイト・ゾンビ』とも表記されることも。
本作に登場するゾンビは後年の映画(現代ゾンビ・モダンゾンビ)に登場する「生きる屍」(リビングデッド)ではなく、「仮死状態にされた人間」であった。彼らはゾンビマスター(ヴードゥ呪術師)の命令に忠実(奴隷化)で、人を襲うことも人肉を食らうこともないため、本作における恐怖はゾンビそのものではなく、ゾンビにされること(またはゾンビマスター)に対するものである。
『恐怖城』は『ゾンビ映画』の始祖として位置づけられている。この時点では、ブードゥー教を元にした「ゾンビ」そのものが古典的モンスター「ドラキュラ」や「フランケンシュタイン」ほどの人気を持ったモンスター映画ジャンルにはなれなかった。60年代のSF映画ブームによって視聴者の関心は移り変わり、ホラー映画自体が低迷していく。1968年にジョージ・A・ロメロが製作した『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』によって、ゾンビの概念が完全に刷新されるまで、ゾンビ映画の低迷は続いた。

『私はゾンビと歩いた! 』(1943)
『恐怖城』はその後、『Ouanga』(1935年)、『死霊が漂う孤島』(1941年)などいつくかの追随作を生み出したが、他のホラー映画キャラクターのような支持を得ることはなかった。1943年の『I Walked with a Zombie』(邦題は『生と死の間』とも『私はゾンビと歩いた!』とも)で作品的に頂点に達すると、ブードゥー教を元にしたゾンビ映画は失速する。
このころのゾンビ映画は「主の言いつけに従う奴隷としてゾンビ」が描かれており、近年のゾンビ映画に見られる「無差別に人間を襲うゾンビ」といった性質は持っていなかった。
サイテー映画の金字塔『プラン9・フロム・アウタースペース』(1959年)

『プラン9・フロム・アウタースペース』(Plan 9 from Outer Space)は、1959年に製作されたアメリカのSFホラー・ゾンビ映画。上映時間79分。監督・脚本・製作エド・ウッド。あまりにも低すぎる映画のクオリティで観る者を震撼させるサイテー映画の金字塔。
深夜テレビで繰り返し放送され、一部でカルト的な人気を得ることとなった。やがて1976年に『ゴールデン・ターキー・アワード』という本の中で「史上最低の映画」として紹介され、ティム・バートン監督の映画『エド・ウッド』で脚光を浴びることとなった。
宇宙からの侵略者が、地球征服のためにゾンビや吸血鬼を手先に侵略をすすめようとするが・・・。
『プラン9・フロム・アウタースペース』総天然色版 予告編
ひどすぎて、愛おしい。
1960年代、ゾンビ映画の萌芽期
1960年代は、ホラー映画ファンから絶大な支持を得ているカルト映画『恐怖の足跡』が生まれ、SFホラーブームとともに、『地球最後の男』などのSFホラー系ゾンビ映画が多数生まれた。そして、モダン・ゾンビ映画の始まりとなるジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が登場し、ブードゥー教を元にした古典的なゾンビ像が現代風のゾンビ像へと徐々に刷新されていく。70年代以降は、人を喰らい人を襲うゾンビが定番化していく。
恐怖の足跡(1962年)

『恐怖の足跡』(原題:Carnival of Souls) は、1962年に製作されたハーク・ハーヴェイ監督のカルトホラー映画である。『シックス・センス』の元ネタとして、さらにはゾンビ映画の元祖として“カルトの王様”と称される。生と死の狭間に迷い込んでしまった九死に一生を得た主人公メリーの恐怖を描いている。
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」「シックス・センス」へ影響を与えたのは、あまりにも有名。カルト・ホラー映画の元祖としてキング・オブ・カルトと称えられる、永遠の傑作。
オカルト色溢れるミステリー・ホラー。衝撃的な結末のオチは語り草になっている(『シックス・センス』の衝撃のラストと同じ)。
突然の交通事故に巻き込まれたメアリーは、友人の死が忘れられず遠く離れた村で暮らし始める。事故以来、彼女は他人に冷たく接するようになっていた。ある日、朽ち果てた遊園地を訪れた時より不気味な男の影が付きまとい始める。幻覚なのか、現実なのか、日に日に男の影がメアリーに迫り…。
地球最後の男(1964年)

『地球最後の男』(原題:The Last Man on Earth)は、SFホラー作家のリチャード・マシスンが1954年に発表した小説 “I Am Legend” (邦題は『吸血鬼』、のち『地球最後の男』、『アイ・アム・レジェンド』と改題)を原作とした1964年公開のイタリア・アメリカ合作のSFホラー映画。
夜になると徘徊、襲撃してくる吸血鬼の描写は、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)に多大な影響を与えた。ゾンビのように見える吸血鬼たちが主人公の自宅を取り囲んで襲う様、終末的な世界観が、ジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」に継承され、ゾンビのキャラクターやイメージが刷新される。
『吸血ゾンビ』(1966)

ヴードゥーの妖術が生み出したゾンビの恐怖! イギリスの片田舎を舞台に、ハイチ渡来のブードゥの秘儀をめぐる怪事件を描いたミステリー・ホラー。本作で発案されたメイキャップや動作、首を落とすといった退治法がジョージ・A・ロメロ監督などのモダン・ゾンビ映画に大きな影響を与えた。
ジョージ・A・ロメロ監督「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生」(1968年)

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(原題: Night of the Living Dead )は、ジョージ・A・ロメロ監督による1968年公開のアメリカのホラー映画である。本作は、近年のゾンビ映画やアニメや漫画、ゲームにテレビドラマなどあらゆるゾンビ物に強い影響を与えた。この映画から、モダン・ゾンビ映画の歴史は始まった。



主人公のベンは唯一生き残っていたのだが、夜明けと共に「死者」を制圧していく保安官たちによって、ゾンビと勘違いされた主人公は射殺されてしまう救いようのないラスト。保安官と民兵たちは、ゾンビになったものを強制排除する。まるで魔女狩り的なテイストのラスト。

1970年代のゾンビ映画
1970年代は、エクソシスト(1973年)、オーメン(1976年)、サスペリア(1977年)といったオカルト映画が世界的に大ヒットし、恐怖映画の需要と認知が世界的に広まった。日本ではニュー恐怖映画(当時はホラー映画という言葉がまだ使われていなかった)ブームの流れで「ゾンビ」(1978年)も受け入れられた。日本で本格的にゾンビ映画ブームが訪れるのは80年代のスプラッター映画ブームをもたらしたビデオ(レンタル)バブル時である。ゾンビ映画と「13日の金曜日」などのスラッシャー映画(殺人鬼ホラー映画)は、ジャンルのエース格としてスプラッターブームを牽引した。

死体と遊ぶな子供たち(1972年)

『死体と遊ぶな子供たち』(原題:Children Shouldn’t Play with Dead Things/Revenge of the Living Dead/Things from the Dead/Zreaks)は、1972年のアメリカ合衆国製コメディーホラー映画。後に、クラシックなカルト・ゾンビ映画として扱われることとなる。
【ストーリー】
若い劇団の俳優たちは、座長のアランに誘われるまま墓場だらけの島にやってきた。呪術の本を持ち込んだアランは、書かれている死体蘇生儀式を試すが、なんの反応もなし。痺れを切らして遺体に冒涜の限りを尽くし始めた。しかし、儀式は既に完成していたのだ!次々と死体は蘇り、ゾンビと化した集団が彼らを襲い始める!
アマンド・デ・オッソリオ監督の『エル・ゾンビ I 死霊騎士団の覚醒』(1971年)

『エル・ゾンビ I 死霊騎士団の覚醒』( 西:La Noche del terror ciego、英: Tombs of the Blind Dead )は、1971年に製作されたスペインのゾンビホラー映画。エル・ゾンビシリーズの第一作目。日本では劇場未公開。ビデオ題は、『エルゾンビ/落武者のえじき』、『エル・ゾンビ 死霊騎士団の誕生』。ラストでは、列車に乗った髑髏軍団は子供も弱者も関係なく乗客を全員虐殺する。救いのない結末、絶望で終わる。カルト的に後味が悪い最期を迎える。

目を失った不気味な骸骨騎士団(骸骨・髑髏ゾンビ)である「テンプル騎士団」の容姿は、ファンタジー映画の金字塔『ロード・オブ・ザ・リング』に出てきた『黒衣の騎士』(ナズグール)の元ネタと言われる。テンプル騎士団は、東方より伝わったとされる凄惨な悪魔崇拝の儀式によって、若い処女を生贄に捧げてその血肉を啜り、永遠の生命を得ようとしていたことが露見したため、ローマ教皇庁からの破門の上に、カラスに両目を抉り取られて処刑されたが、今もなお、夜毎に蘇っては新たな生贄を求めて彷徨い続けるという。

「エル・ゾンビ」は、ヨーロッパ中世のゴシック・ホラー調の怪談(伝奇)を下敷きにした(目を失って物音を頼りに、夜ごとに犠牲者・新たな生贄を求め続ける)髑髏ゾンビ軍団の暗躍を描くだけでなく、序盤の列車でのレズのカップルの回想シーンにおける性愛シーン(濃厚な百合描写)、処女が生贄になる悪魔崇拝の儀式(回想シーン)、男性恐怖症ヒロインのレイプシーン(いささか唐突に思われる濡れ場)などエロティシズムとサディズムも加味されている。エロサド嗜好のスパニッシュ・ホラーそのものを体現している。
「ブラインド・デッド」シリーズ / 「エル・ゾンビ」シリーズ
『エル・ゾンビ I 死霊騎士団の覚醒』の成功によって、「ブラインド・デッド」シリーズ(エル・ゾンビシリーズ)と呼ばれる3本の続編が作られ、本作を模倣した多数の亜流・便乗作品がもたらされた。各作品は、阿鼻叫喚の「救いようのない結末」で終わる辛辣な物語になっている。
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- 第2作『エル・ゾンビ II 死霊復活祭』(1973)
世界中のカルトファンから圧倒的な人気を誇るスパニッシュホラーの金字塔“ブラインド・デッド・シリーズ”第2弾。とある寒村で再会を果たし愛を再燃させるひと組の男女に、不気味な黒い影が襲い掛かる。
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- 第3作『エル・ゾンビ III 死霊船大虐殺』(1974)
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スパニッシュ・ホラーの巨星アマンド・デ・オッソリオが放つエル・ゾンビシリーズ第3弾。水着PRのモデル・キャシーが、外洋で消息を絶つ。彼女は「霧の中のガレー船」という謎めいた言葉を残すが…。 世界中のカルトファンから圧倒的な人気を誇るスパニッシュホラーの金字塔“ブラインド・デッド・シリーズ”第3弾。呪われたテンプル騎士団が、今度は海を地に染める。主人公たちの理不尽すぎる運命を描いた、シリーズ中最も凄惨な物語。
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- 第4作『エル・ゾンビ IV 呪われた死霊海岸』(1975)
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第4作『エル・ゾンビ IV 呪われた死霊海岸』(1975)は、スペインのホラー映画史に金字塔を打ち立てた伝説のカルト・シリーズ最終章。呪われた盲目の騎士、テンプル騎士団が脅威を振るうエル・ゾンビシリーズ第4弾。 世界中のカルトファンから圧倒的な人気を誇るスパニッシュホラーの金字塔“ブラインド・デッド・シリーズ”第4弾。寂れた村に赴任して来た医師・ヘンリー。だが真夜中に悲鳴が聞こえたり、忽然と村の娘が消えたりと、相次いで不審な出来事が起こり…。
世界初のゴア・ゾンビ映画『悪魔の墓場』(1974年)

『悪魔の墓場』(原題:Non si deve profanare il sonno dei morti)は、1974年に公開されたイタリア・スペインのSFホラー映画、ゾンビ映画。死者の大群と人間の攻防を描く他のゾンビ映画と違って、ゾンビの発生に気付いているのがごく一握りで、主人公のジョージらが殺人犯と疑われるサスペンス風(ジャッロ・ジャーロ映画)の異色作になっている。
ジョージ・A・ロメロの古典的名作『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』を、スプラッター大国・イタリアがスペインと共同でカラーリメイク。害虫駆除用の音波に反応して墓地から蘇った死体が、次々に人々を襲って内蔵を食い荒らしていく。襲われた人もゾンビと化し、その恐ろしい事態は広がっていった…。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』でもゾンビによるカニバリズムの映像化はされていたが、天然色・カラーでカニバリズムが映像化された最初のゾンビ映画が『悪魔の墓場』。
日本で初公開当時、人喰いゾンビ映画は殆ど知られておらず、強烈なインパクトがあった。人喰いゾンビが徘徊暗躍するグロ・ゴア・スプラッター映画として悪名を轟かした1本。元祖スプラッター映画として内臓と鮮血が飛散る残酷描写が、リアルで衝撃的だった。

悪魔の墓場は、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の影響下にある作品。人間を襲い内臓を喰らう「カニバリズム性」、ゾンビに噛まれる(ゾンビに傷を受ける)とゾンビになってしまう「伝染性・感染性」などのゾンビ像を受け継いでいる。
ゾンビ映画の金字塔「ゾンビ」(1978年)

『ゾンビ』(原題: Dawn of the Dead, 国際題: Zombie)は、1978年9月にイタリアで公開されたジョージ・A・ロメロ監督のホラー映画。日本では1979年3月に公開された。巨大なショッピングモールを舞台に、人間対ゾンビの死闘を描いた。ロメロ監督の「ゾンビ」には、以降のモダン・ゾンビ映画の基本・雛形となる残酷描写の数々がお手本のように配されている。ゾンビが人間を襲い噛みつき食い殺す、内臓やバラバラになった手足を食べるグロテスクなカニバリズム描写、ショットガンでゾンビの頭部を次々と破壊するなど人間側もゾンビに反撃する大殺戮が描かれた。
映画『ゾンビ』サントラ 〔音楽・演奏〕ゴブリン
GOBLIN – “ZOMBIE” DAWN OF THE DEAD – 7″ – 1979 – Japan – King Record Co. Ltd / Seven Seas FMS-90.

「ゾンビ」 劇場予告編。懐かしい1979年の日本の当時の貴重な劇場予告。
カニバリズムという特徴を備え過激な人体破壊描写で見どころや見せ場を作りやすいゾンビは、80年代スプラッターブームの理想とする怪物像であった。「ゾンビ」(1978年)の大ヒットによって、殺人鬼ホラーであるスラッシャー映画同様に、ゾンビ映画が80年代に大量に生産されることになる。
映画「ゾンビ-日本初公開復元版-」本予告|2019/11/29(金)公開
「ゾンビ-日本初公開復元版-」のストーリー
惑星から降り注いだ光線によって地球上の死者が“ゾンビ”として復活。その群れは生者に襲いかかり、噛みつかれた者もまたゾンビへと変貌する。生ける屍たちは瞬く間に世界を覆いつくした。テレビ局員のフラン(ゲイラン・ロス)と彼女の恋人でヘリコプター・パイロットのスティーヴン(デヴィッド・エムゲ)、そしてSWAT隊員のロジャー(スコット・H・ライニガー)とピーター(ケン・フォーリー)はヘリで脱出し、郊外の巨大ショッピングモールにたどり着く。彼らはモール内のゾンビを排除し、何不自由の無い楽園を手に入れた。だが彼らの前に物資を狙う暴走族の一団が現れ、扉をこじ開け乱入してきた。ゾンビ、暴走族、フランたちの三つ巴の殺戮戦がはじまり、血しぶきが壁を染め、肉塊が床を埋めつくす。夜明けとともに生き残るのは果たして……。


ホラー映画の金字塔『ゾンビ』には“幻のバージョン”があった!
日本公開から40周年──「米国劇場公開版」「ダリオ・アルジェント監修版」
「ディレクターズカット版」とも異なる「第4のバージョン」=日本劇場初公開版がついに蘇る!
それは惑星の爆発と共に始まり、エンディングは唐突にブチ切れた。
90年代以降は劇場で上映されることがなかったばかりか、過去に一度もソフト化されたことがない、文字通り“幻のバージョン”である「日本初公開版」。今回、海外の権利元との粘り強い交渉により、その復刻・再現の許諾を特別に得ることができた。
公式サイト:https://www.zombie-40th.com/
ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」の影響下の作品例(亜流・便乗)
フランス発のゴア・ゾンビ映画『殺戮謝肉祭/屍肉の晩餐』(1978年)

『殺戮謝肉祭/屍肉の晩餐』(原題:LES RAISINS DE LA MORT/THE GRAPES OF DEATH)は、1978年のフランスのカルト的な監督ジャン・ローランのゾンビ・ホラー映画。フランス初のスプラッター映画であると言われている。手斧による生首切断(切株)、ピッチフォークによる胴体串刺しなどの残酷描写が描かれる。残酷描写の度に、美女のおっぱいを露出するお色気サービスも充実している点が画期的。


全欧で上映禁止処置を受けたスプラッター・ノワール。恋人を訪ねるためエリザベスが乗った列車内で、同席した男性客が突然ゾンビと化した。逃げ出した彼女は、汚染されたワインでゾンビ化した人々が跋扈する、呪われた迷宮地帯へ迷い込む…。
ゾンビ3(1980年)

ゾンビ3(原題:Le Notti del terrore / Nights of Terror)は、1980年のイタリアのゾンビ映画。エロティックな要素も満載の残酷ゾンビ映画。最後に母親の乳首を噛みきるマザコン息子のマイケルがエキセントリックなキャラクターで大人気。
考古学者がある古文書を解読したために封印が解かれ、ゾンビ軍団が地獄の門から続々と蘇った!ヤツらは次々と人間を襲い、喰いついていく…。『サンゲリア』の特殊メイクアーチスト、J・デ・ロッシが生み出した、残酷で不気味なゾンビ軍団は必見。

ゾンビ3に登場するゾンビの造形は、腐敗し半ミイラ化した「サンゲリア」に倣ったもの。中盤の見せ場は、ゾンビが投げた楔によって腕を固定されたメイドが大きな鎌で首を切り落とされる切株シーン。
ピーター・バークが演じる少年マイケルは、「んママァ〜? んママァ〜?」と繰り返ししつこく未亡人の母親につきまとい、恋人とイチャつく母親の寝室までストーカーするほどのエキセントリックなマザコン息子。マイケルは、攻防の末にゾンビに殺され自らもゾンビになってしまう。
「お母さん!」「私のマイケル!」

終盤に感動の再会となる。息子が生き返ったんだと思い込んだ現実逃避の母親は、マイケルに思うがままに乳首を吸わせる。息子に乳首を吸われて感じている母親の顔が、突如、苦悶した顔に豹変する。人喰いゾンビに変貌している息子マイケルが、乳首を激しくかじり、とうとう乳首を食いちぎってしまう。変態マザコン息子のマイケルの魅力も合わさって、この伝説の乳首食いちぎりシーンは、語り草になっている。
救いのないラスト。最後まで生き残った二人も、もう助からないだろうという絶望的なラストシーンで物語は終了する。