70年代にブームを巻き起こした横溝正史=金田一耕助もの。横溝正史原作の「金田一耕助シリーズ」の映画作品のトラウマシーン(猟奇的殺人シーン・死体・最恐の瞬間など)と名場面・見どころのまとめ。石坂浩二の金田一耕助シリーズ(角川映画)の「犬神家の一族(1976)」「悪魔の手毬唄(1977)」「獄門島(1977)」「女王蜂(1978)」「病院坂の首縊りの家(1979)」の5作品を中心に、1970年代以降に大ヒットした「八つ墓村(1977)」「本陣殺人事件(1975)」「悪魔が来りて笛を吹く(1979)」「悪霊島(1981)」の4作品を加えた合計9作品のご紹介。

ミステリーとホラーが絶妙に融合した昭和時代の「金田一耕助シリーズの映画作品」は、おどろおどろしい陰惨な世界観を持ち凄惨なトラウマシーンの宝庫です。トラウマ怪奇映画の代表格。

石坂浩二の金田一耕助シリーズ(角川映画) / おどろおどろしい猟奇的な連続殺人シーンが特徴のミステリー・サスペンス映画の傑作。封建的な田舎の古い因習による陰惨さ、隠された血縁関係が殺害動機に…。

横溝正史原作の俳優・石坂浩二が演じる映画版「金田一耕助シリーズ」は、以下の6作品。このまとめでは「病院坂の首縊りの家」までの昭和時代の5作品をご紹介。

  • 犬神家の一族(1976年〈昭和51年〉10月16日公開) 角川映画第1作
  • 悪魔の手毬唄(1977年〈昭和52年〉4月2日公開) この作品より東宝の自主制作となる(リメイク版『犬神家の一族』まで)
  • 獄門島(1977年〈昭和52年〉8月27日公開)
  • 女王蜂(1978年〈昭和53年〉2月11日公開)
  • 病院坂の首縊りの家(1979年〈昭和54年〉5月26日公開)
  • 犬神家の一族(2006年〈平成18年〉12月16日公開)

石坂浩二は金田一耕助の演技者としては劇場映画では7人目となるが、和服に袴、お釜帽にボサボサ頭という、原作の記述を忠実に再現した最初となった。

石坂浩二の金田一耕助シリーズ(角川映画)『犬神家の一族』(1976年) / 横溝正史ブームの火付け役となったミステリー映画の金字塔。佐清の白マスクや水面から突き出た足など、強烈なインパクトで社会現象を巻き起こした。おどろおどろしい陰惨な世界観を持つ伝説のトラウマ怪奇映画。

『犬神家の一族』は1976年に公開された日本映画で、横溝正史の作品を映画化したもので、角川映画の初作品であり、市川崑監督・石坂浩二主演による金田一耕助シリーズの第1作でもある。「波立つ水面から突き出た足」のシーンや、不気味な白マスク姿の佐清などの印象的な場面が多く、主題曲「愛のバラード」も有名である。

犬神家の一族(1976)予告編

信州財界のフィクサー・犬神佐兵衛が残した謎の遺言状。犬神財閥の巨額の遺産を巡って、血塗られた連続殺人が起こる。犬神家の家宝である 斧(ヨキ)・琴(コト)・菊(キク)に隠された秘密とは?名探偵・金田一耕助が解き明かす血の系譜、そして意外な真相とは!?

『犬神家の一族』は、1976年(昭和51年)10月16日に公開された日本映画。横溝正史作による同名の長編推理小説の映画化作品の一作。1970年代中頃から1980年代中頃にかけて一種のブームとなった角川映画の初作品であり、市川崑監督・石坂浩二主演による金田一耕助シリーズの第1作でもある。金田一耕助を初めて原作通りの着物姿で登場させた映画としても知られる。犬神家の一族 4Kデジタル修復 Ultra HD Blu-ray【HDR版】(4K Ultra HD Blu-ray+Blu-ray+特典Blu-ray 計3枚組)

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不気味な白マスク姿の「犬神佐清(すけきよ)」は、あまりにも有名なトラウマキャラ…松子「佐清(すけきよ)、頭巾を取っておやり!」「佐清(すけきよ)、この薄情の人たちに仮面をめくっておやり!」のくだりで視聴者は2回驚かされる!グロテスクすぎる素顔に度肝を抜かれた…映画史に残る恐怖のトラウマシーン。

松子「佐清(すけきよ)、頭巾を取っておやり!」犬神佐兵衛の顧問弁護士の古舘恭三は、黒い頭巾をかぶっており素顔を見れない犬神佐清(すけきよ)が本人であることを確認しなくても良いのかと聞くと、竹子も梅子も佐清(すけきよ)の顔を見なければ納得しないと言い出す。

松子(高峰三枝子)「佐清(すけきよ)、頭巾を取っておやり!
頭から黒い頭巾をかぶった異様な男である犬神佐清が黒い頭巾を取ると…なんと不気味な白いマスクで覆われた頭部が現れた。「きゃあ!」と竹子の娘の小夜子が悲鳴をあげる。一同は騒然とする。

一度見たら頭に焼き付いてしまい一生忘れないほどの、あまりにも強烈な伝説のトラウマキャラクターの誕生。不気味な白マスク姿の「犬神佐清(すけきよ)」は、一度見たら忘れられないトラウマキャラ。特に石坂浩二の金田一耕助シリーズ(角川映画)『犬神家の一族』(1976年)は、おどろおどろしい陰惨な世界観を持つ伝説の「トラウマ怪奇映画」として名高い。白マスク姿の「犬神佐清(すけきよ)」を見て、驚きの表情を見せる野々宮珠世(島田陽子)。犬神佐兵衛の遺言が犬神家の全財産は、野々宮珠世が犬神佐清、犬神佐武、犬神佐智の中から配偶者を選べば彼女に譲られるとしていたことから、血で血を洗う莫大な遺産をめぐる争いのまっただ中に身を置くことになってしまった。

不気味なマスク姿の佐清(すけきよ)…松子「スケキヨさん、(素顔)見せておやりなさい!」犬神佐清は徴兵されてビルマでの戦いに参戦したが、そのときに顔に酷い火傷を負ったために、白いゴムマスクをつけている。頭部全体を隠す無表情で不気味なマスクが使用され有名になった。

「佐清(すけきよ)」は戦争で顔を負傷しマスクをかぶっているため本人かどうか疑わしいと家族が言い出し争いになる。不気味な白マスク姿の佐清(すけきよ)はあまりにも有名なトラウマキャラ。

松子「佐清(すけきよ)、この薄情の人たちに仮面をめくっておやり!」…早くも本作品の「最恐の瞬間」が訪れる。
松子「スケキヨさん、(素顔)見せておやりなさい!」 / グロテスクすぎる素顔に度肝を抜かれた黒頭巾をかぶった異様な姿→不気味な白マスク姿→あまりにもグロテスクすぎる「佐清(すけきよ)」の素顔に視聴者は度肝を抜かれた。みんなのトラウマ。

ビルマ戦線で「どえらい傷」を負ったマスク姿の「佐清(すけきよ)」(正体は、青沼静馬)の素顔は原作では顎の辺りは無傷で鼻の代わりに赤黒い肉塊があるとされているが、本作では右側の顎の下にまで焼け爛れた傷があり、鼻も完全になくなっている。

佐武(すけたけ)(地井武男)の死体が発見される。/ 犬神家の家宝「菊」を見立てた殺人。猟奇的な連続殺人…血みどろの遺産相続の惨劇が始まった。

犬神家の家宝「斧(よき)、琴、菊」(よきこと聞く)になぞらえて起こっていく猟奇的連続殺人事件。
佐武(すけたけ)(地井武男)の死体が発見される。菊人形の生首と犬神佐武(すけたけ)の生首がすげ替えられていた。佐武(すけたけ)(演:地井武男)の死体が発見される。菊人形の生首と犬神佐武(すけたけ)の生首がすげ替えられていた。恐れおののく金田一耕助「う、うわああああああああああ!ああああ!」

恐れおののく金田一耕助「う、うわああああああああああ!ああああ!佐武の生首がボトリと落下する。佐武の生首がボトリと落下する。ホラー映画レベルの恐怖シーン。

佐智(すけとも)は、珠世(島田陽子)をレイプしようとするが…

佐智(すけとも)は、珠世(島田陽子)をレイプしようとするが…「野々宮珠世」を厚遇するという佐兵衛の奇怪な遺言の影響で、佐武と佐智は、珠世を手に入れようと近づくが・・・眠らせて珠世(たまよ)を犯そうとする佐智(すけとも)。謎の復員兵(実は本物の佐清(すけきよ))が助けに来て、佐智(すけとも)は復員兵にボコボコにされる。眠らせて珠世(たまよ)(演:島田陽子)を犯そうとする佐智(すけとも)。
謎の復員兵(実は本物の佐清(すけきよ))が助けに来て、佐智(すけとも)は復員兵にボコボコにされる。謎の復員兵(実は本物の佐清(すけきよ))が助けに来て、佐智(すけとも)は復員兵にボコボコにされる。復員兵の男は、珠世を助けたのちに、犬神家に電話を入れ、猿蔵に珠世を引き取りにくるように伝えます。

翌朝、佐智(すけとも)の屋敷の屋根の上で、佐智の死体が発見される。/ 犬神家の家宝「琴」を見立てた殺人

佐智(すけとも)の屋敷の屋根の上で、佐智の死体が発見される。翌朝、佐智(すけとも)の屋敷の屋根の上で、佐智の死体が発見される。佐智は琴糸で首を絞められていたが、付近に争った痕跡がないことから、別の場所で殺され、この場所に運ばれたと思われる。佐智(すけとも)の屋敷の屋根の上で、佐智の死体が発見される。/ 犬神家の家宝「琴」を見立てた殺人佐智は琴糸で首を絞められていた。犬神家の家宝「琴」を見立てた殺人。佐智の死に様を盛り上げる小夜子の絶叫シーンは語り草になっている。行方不明の佐智を探して天井裏に入り込んだ小夜子が、明かり取りの窓を通して佐智を発見する。この佐智殺害の影響で彼女は正気を失ってしまう。行方不明の佐智を探して天井裏に入り込んだ犬神小夜子が、明かり取りの窓を通して佐智を発見する。この佐智殺害の影響で彼女は正気を失ってしまう。佐智の死に様を盛り上げる小夜子の絶叫シーンは語り草になっている。ホラー映画の有名な絶叫クィーンにも負けないレベル。佐智は「琴糸」で絞殺されるときの抵抗で松子の指を噛み切った。佐智は「琴糸」で絞殺されるときの抵抗で松子(高峰三枝子)の指を噛み切った。物を見ることはできない琴の師匠だが 、その分、ごく微妙な差異でさえも常人の数倍以上聴き分けてしまう。 琴の師匠は、松子婦人の今日の演奏はいつもと、どこかが少し違うことを感じていた。物を見ることはできない琴の師匠(岸田今日子)だが 、その分、ごく微妙な差異でさえも常人の数倍以上聴き分けてしまう。琴の師匠が佐智殺害時における松子のアリバイ崩しの証言をする。

琴の師匠は、松子婦人(高峰三枝子)の今日の演奏はいつもと、どこかが少し違うことを感じていた。佐智絞殺時に噛まれて負傷した指が演奏に影響を与えていたのだ。

青沼菊乃を痛めつけて家宝を奪い取る梅子(草笛光子)、竹子(三条美紀)、松子(高峰三枝子)の3人の娘が鬼畜すぎる。映画史に残る陰惨なトラウマシーン。

梅子(草笛光子)、竹子(三条美紀)、松子(高峰三枝子)の3人の娘は、青沼菊乃を散々痛めつけて家宝を奪い返した。梅子(草笛光子)、竹子(三条美紀)、松子(高峰三枝子)の3人の娘は、青沼菊乃(大関優子=佳那晃子)を散々痛めつけて家宝を奪い返した。菊乃が住む別宅に乗り込んできた激怒した佐兵衛の三人娘(松子、竹子、梅子)。三人娘は、菊乃を散々痛めつけて家宝を奪い返した。菊乃が住む別宅に乗り込んできた激怒した佐兵衛の三人娘(松子、竹子、梅子)。三人娘は、菊乃を散々痛めつけて家宝を奪い返した。

梅子(草笛光子)、竹子(三条美紀)、松子(高峰三枝子)の3人に痛めつけられ、責め苛まれた青沼菊乃梅子(草笛光子)、竹子(三条美紀)、松子(高峰三枝子)の3人に痛めつけられ、責め苛まれた青沼菊乃…あまりにも陰惨な虐待劇。

竹子「私たち3人は、3人とも母が違っております。 生涯父の正妻になれず、ただその時々の男の欲望を満たす道具として、父に飼われていたような3人の母でした」だが佐兵衛は、老いてから出来た愛人・青沼菊乃にだけは深い愛情を注ぎ、生まれた静馬に家宝の「斧琴菊」を与えてしまった。激怒した3人の娘たちは、ある日菊乃が住む別宅に乗り込んで行き、菊乃を散々痛めつけて家宝を奪い返した。

3人の娘たちに凄惨な仕打ちを受けた青沼菊乃・静馬の母子の復讐?

3人の娘たちに凄惨な仕打ちを受けた青沼菊乃・静馬の母子の復讐?青沼菊乃は呪詛を吐く「お前たちを呪ってやる、必ず、必ず…恨みをはらす…」青沼菊乃は呪詛を吐く「お前たちを呪ってやる、必ず、必ず…恨みをはらす…」

竹子は、佐武(すけたけ)と佐智(すけとも)が殺害されたのは、青沼母子がその時の復讐をしているのではないかという。菊と琴糸は、「家宝を奪われた恨み」という意味ではないか、と。

佐兵衛は菊乃と産まれたばかりの静馬に家宝(犬神家の全相続権を示す家宝の斧(よき)と琴(こと)と菊(きく))を渡して、とある百姓家の離れに隠すが、居場所を知った松子たちに襲撃されてしまい、凄惨な仕打ちを受けた。そのことで菊乃は静馬を連れて佐兵衛の前からも那須地方からも姿を消した。

古館の調査で、青沼菊乃はすでに死んでいることがわかっているが、青沼静馬は戦争に行ったきりで、生きているのか死んでいるのかさえわかっていない。

早合点を繰り返す橘署長(加藤武)「よおし、わかった!犯人は青沼静馬だ!」

橘署長は、謎の復員兵が青沼静馬で、遺産を独り占めするために2人の孫を殺したに違いないと結論付ける。

その後も、犯行現場付近には、いつも珠世と猿蔵の姿があったため…「よーしわかった!犯人は、珠代だ。」「よーしわかった!犯人は、猿蔵だ。」「よーしわかった!犯人は、復員兵だ。」と犯人を間違い続けた。

加藤武は、『犬神家の一族 (1976年の映画)』『悪魔の手毬唄』を始めとする金田一耕助シリーズでは役名が毎回異なるものの、粉薬が手放せず、イチイチ大仰な身振りで「よしっ!分かった!」と手をポンと叩きながら早合点を繰りかえす警察幹部を好演した。

犬神家の一族(1976年) – 橘署長
悪魔の手毬歌(1977年) – 立花捜査主任
獄門島(1977年) – 等々力警部
女王蜂(1978年) – 等々力警部
病院坂の首縊りの家(1979年) – 等々力警部

マスク姿の佐清(すけきよ)の正体は? / 珠代(演:島田陽子)「松子おばさま、この人は佐清さんではありません」

珠代「松子おばさま、この人は佐清さんではありません」松子「珠代さん、決心はついたわね?佐竹さんと佐智さんがあんなことになってしまった今、あなたが結婚する相手はこの佐清しかいないのよ。さあ、最後のお返事を聞かせて頂戴」

珠代(演:島田陽子)「お断りします」

松子「何ですって!?あなた自分が何を言ってるのかわかってるの?佐清との結婚を拒んだら、あなたは遺産に関するすべての権利を失ってしまうのよ?」

珠代(演:島田陽子)「松子おばさま、この人は佐清さんではありません

マスク姿の佐清(すけきよ)の正体は、青沼静馬だった…衝撃的などんでん返し!マスク姿の偽佐清が「青沼静馬だよ…」と正体を明かすシーンは、映画史に残る恐怖のトラウマシーン。

マスク姿の佐清=青沼静馬「青沼静馬だよ。あんたとあんたの妹たちに痛めつけられ、責め苛まれた青沼菊乃の息子、静馬さ!お袋が死んだのは俺が9つの時だ。最後まであんたたちを呪っていた、この犬神一族をな。俺は自分に誓った、必ず復讐してやる、お袋の恨みを晴らしてやるってな!」松子「佐清、お前が私の息子じゃないなんて、そんなバカな。珠代の言ったことは嘘だよね?」
マスク姿の佐清(すけきよ)「フフフ・・・珠代の言ったことは本当だよ。あんたの大事な佐清さんは、とっくにどこかへ消えちまったよ!」
松子「お前は一体・・・」

マスク姿の佐清=青沼静馬「青沼静馬だよ。あんたとあんたの妹たちに痛めつけられ、責め苛まれた青沼菊乃の息子、静馬さ!お袋が死んだのは俺が9つの時だ。最後まであんたたちを呪っていた、この犬神一族をな。俺は自分に誓った、必ず復讐してやる、お袋の恨みを晴らしてやるってな!」

マスク姿の佐清が「青沼静馬だよ…」と正体を明かすシーンは、映画史に残る恐怖のトラウマシーン。

青沼静馬「いいヤツだったよアンタの息子は…戦争がひどくなってオレたちの部隊は離ればなれになった。ヤツの部隊は全滅した。オレも顔にどえらい傷を負って死にかけた…声も…青沼静馬「いいヤツだったよアンタの息子は…戦争がひどくなってオレたちの部隊は離ればなれになった。ヤツの部隊は全滅した。オレも顔にどえらい傷を負って死にかけた…声も…

犬神一族への恨みだけがその時のオレを支えていたんだ‼︎オレは佐清になり代わって犬神家を乗っ取ってやろうとその時、決心したんだ‼︎ハッハハハハハハハ、アッハッハハハハハハハハ…

偽の佐清の正体は青沼静馬だった。本物の佐清(すけきよ)の母親をかばう気持ちを利用して、母親の青沼菊乃の復讐をすると同時に犬神家を乗っ取ろうとしていたのだ。

返り血として顔面への大量の血しぶきを浴びる…松子(高峰三枝子)は、青沼静馬を斧で殺害する…映画史に残る凄惨なスプラッター演出として名高い。

勝ち誇っている青沼静馬「この家のものはひとつ残らず、俺のものだ。珠世も遺産も、何もかも!」「勝ったんだ!俺は犬神一族に勝ったんだああ!
青沼静馬は手元に偶々あった斧で松子(高峰三枝子)に殺害された。凄まじい量の血しぶき…松子は返り血を浴びる。映画史に残るトラウマ必至の恐怖シーン。犬神家に対して怒りと恨みを抱く青沼静馬に対して、松子夫人は逆上し、静馬の後頭部を背後から、斧で打撃した。犬神家に対して怒りと恨みを抱く青沼静馬に対して、松子夫人は逆上し、静馬の後頭部を背後から、斧で打撃した。松子(高峰三枝子)は、返り血として大量の血しぶきを顔面に浴びる。青沼静馬は手元に偶々あった斧で松子に殺害された。松子は返り血を浴びる。斧による一撃の返り血…顔面への血しぶきを浴びる松子。

佐清の逆立ち死体…「波立つ水面から突き出た足」のシーン / にせスケキヨ=青沼静馬の逆立ち死体は、映画史に残る伝説の「死に様」

「波立つ水面から突き出た足」のシーン / 青沼静馬の逆立ち死体翌日、湖で佐清の逆立ち死体が発見される。映画史に残る伝説の死に様。一度見たら忘れられない。にせスケキヨ=青沼静馬は、足だけを突き出した奇妙な姿で発見された。佐智殺害で正気を失って徘徊していた犬神小夜子が湖上の倒立死体(にせスケキヨ=青沼静馬)を発見する。佐清の逆立ち死体を発見した犬神小夜子の名セリフ「面白いことしてるわねぇ、あたしも仲間にいれてよぉ」

佐智殺害で正気を失って徘徊していた犬神小夜子が湖上の倒立死体(にせスケキヨ=青沼静馬)を発見する。本物のウシガエルを抱える小夜子の名シーン。犬神佐清の死に様は、足だけを突き出した奇妙な姿(逆立ち死体)。映画史に残るもっとも有名な死に様(印象的な死に方)。犬神佐清(にせスケキヨ=青沼静馬)の死に様は、足だけを突き出した奇妙な姿(逆立ち死体)。映画史に残るもっとも有名な死に様(印象的な死に方)。

これは「スケキヨ」を反転して「ヨキケス」とし、水没した頭側の二文字を消した「ヨキ」(斧(よき):犬神家の家宝「斧・琴・菊」の一つ)を表す一種の見立て殺人であった。
佐清と思われた水死体耕助は、佐清の指紋をもう一度取れと署長に進言する。鑑定の結果、佐清と思われた水死体の指紋は奉納手形とは一致しなかった。水面から引き上げた時に露出したグロテスクな素顔から、佐清の死体と思われたが、マスク姿の佐清の正体は、実は行方不明だった青沼静馬だった。水面から引き上げて、顔面に付いていた泥が洗われると、焼けただれたグロテスクな素顔が…。この顔面の損傷が激しい水死体=マスク姿の佐清の正体は、実は行方不明だった青沼静馬だった。

指紋を採取するこの時は、偽スケキヨの青沼静馬と本物の犬神佐清がすり替わっていた。指紋を採取するこの時は、偽スケキヨの青沼静馬と本物の犬神佐清がすり替わっていた。

耕助「すりかわったんですよ。あの仮面を巧みに利用して、本物と偽者がすりかわっていたんですよ
「じゃあ今朝の逆立ち死体は何者なんだ」
耕助「(青沼)静馬ということになりますね

真相を語りだす金田一耕助 / 「佐清と珠世の結婚」という犬神 佐兵衛(いぬがみ さへえ)の望む結果になった。

金田一耕助「あなたと竹子さん、梅子さんの姉妹は遺産相続人からはずされていた。そこで、あなたは自分の息子の佐清君を珠世さんと強引に結婚させ、遺産を独り占めしようとして殺人を決行した。しかし、あなた、その珠世さんが佐兵衛翁の本当のお孫さんだということをご存じですか。犬神 佐兵衛(いぬがみ さへえ)の望む結果になった。金田一耕助「僕はこう想うんです。あなたは、佐兵衛翁の望んだこと(佐清君と珠世さんが結婚して全財産を相続すること)をあなたの手で実行してしまったんですねぇ。」

佐兵衛の遺した遺言の真意…実は本当の孫である野々宮珠世に莫大な恩恵を与える遺言

佐兵衛の遺した遺言は、家族より恩人の「野々宮大弐」の孫である「野々宮珠世」を厚遇するという奇怪な内容だった。

    • 犬神家の全相続権を示す家宝『斧(よき)・琴(こと)・菊(きく)』の3つを野々宮珠世(佐兵衛の恩人・野々宮大弐の孫)に与えて、珠世が佐清、佐武、佐智の佐兵衛の3人の孫息子の中から配偶者を選ぶこと。
    • 珠世が結婚を拒んで相続権を失うか死んだ場合は、犬神家の財産は5等分され3人の孫息子は各5分の1ずつを相続し、残り5分の2を佐兵衛の愛人・青沼菊乃の息子の青沼静馬が相続すること。

物語の核心:隠されていた血縁関係(哀しき愛の形)…野々宮珠世の母の「野々宮祝子(のりこ)」は、実は野々宮大弐の妻「野々宮晴世」と「佐兵衛」の娘(長女)。ゆえに「野々宮珠世」は、佐兵衛翁の本当の孫であった。

佐兵衛は野々宮大弐の妻・野々宮晴世と恋に落ち、男女の関係になってしまう。密会をしている。佐兵衛は野々宮大弐の妻・野々宮晴世と恋に落ち、男女の関係になってしまう。大弐への申し訳なさから、佐兵衛と晴世は自殺を図るが、大弐に止められて、その後は大弐公認の仲となり密会を続け、やがて野々宮祝子(のりこ)が生まれた。つまり野々宮珠世の母の野々宮祝子(のりこ)は大弐の妻晴世と佐兵衛の娘。

佐兵衛にとって野々宮祝子(のりこ)こそ表沙汰にできぬ犬神家の長女であり、彼女は佐兵衛が最も愛した女性・野々宮晴世との子供だったが、立場上、佐兵衛は祝子を娘と呼ぶことはできなかった。

終生を日陰の花として送った野々宮晴世と佐兵衛の長女でありながら貧しい神官の妻で終わった野々宮祝子に対する佐兵衛の後悔と憐憫の情が野々宮珠世に莫大な恩恵を与える遺言につながった。

幼い頃から野々宮珠世と佐清が相思相愛であることを知っていた佐兵衛は、珠世と佐清を結婚させることで、珠世を犬神家の一族に迎え入れてその将来を安泰させ、良識的な佐清の性格からしても財産を独占しようとせず、佐武たちにも悪くはしないだろうと目論んでのことと思われる。犬神家の家宝「斧(よき)、琴、菊」(よきこと聞く)野々宮珠世は、犬神家の家宝「斧(よき)、琴、菊」(よきこと聞く)を犬神佐清に渡した。犬神佐清が後継者に決まる。佐兵衛の目論見通りとなった。

自分勝手な性格のクズ人間が多い犬神家の中で「佐清」(すけきよ)は、唯一、優しくて良識的な好青年であり、犬神家への復讐に燃える闇落ちした青沼静馬が「いいヤツだったよアンタの息子は」と例外的に言うほどの好青年である。また母親の松子の罪を全部被ろうとするほど親思いでもある。

佐兵衛の本当の孫である「珠世」とはとてもお似合いのカップルであり、これで犬神家は安泰だろう。陰惨な遺産相続の事件だったが、善人中の善人である「佐清」と「珠世」の結婚という希望で終わるため、後味は悪くない作品となっている。比べると悪魔の手毬唄の方が悲劇性は高い。

三親等内の結婚が禁止されているだけで、四親等以降の傍系血族とは、結婚可能なので、佐兵衛の孫同士の結婚(いとこ同士)は、可能となっている。

3人の妾たちにとっては操と尊厳を蔑ろにされ、妾たちも佐兵衛の愛情はいらないが我が子に遺産がいくことを心の拠り所にするしかなく、松子、竹子、梅子の娘たちも母親たちの恨みを受け継ぐことになり、結果的に血で血を洗う遺産相続の惨劇を巻き起こすこととなった。珠世が佐清に家宝を贈り、佐清が犬神家の後継者に決まったことを見て安心した松子は、すべての罪を清算すべく、若林を殺した毒を仕込んだタバコを吸って自殺。「スケキヨ…、珠世さんを父の怨念から…、解いておやり!」

珠世が佐清に家宝を贈り、佐清が犬神家の後継者に決まったことを見て安心した松子は、すべての罪を清算すべく、若林を殺した毒を仕込んだタバコを吸って自殺。

犯人と看破した金田一耕助は「しまったぁぁぁ!!…煙草だ…。」と松子の死を止められなかったことを悔やむように叫んでいる。犯人と看破した金田一耕助は「しまったぁぁぁ!!…煙草だ…若林さんを殺したのと同じ毒がこの煙草に仕込んであった!」と松子の死を止められなかったことを悔やむように叫んでいる。

1976年公開の角川映画第1作『犬神家の一族』のテーマ曲「愛のバラード」は、この時代特有の感傷深い思いを感じる哀愁漂う旋律によって、鮮烈なオープニング映像の気品を、映画全体の格調を、ひいては物語の核心である哀しき愛の形を、的確に表現していた。この曲を聴くだけで、あっという間にトラウマ怪奇映画「犬神家一族」の世界観に浸れる怪しげで儚げなメロディが素晴らしい。物語の冒頭で流れた時は怖さを引き立てられ、ラストに流れた時には物語の悲哀さを引き立てる‥‥「犬神家の一族」に恐ろしいほどマッチした傑作。

悪魔の手毬唄(1977) / 映画史に残るミステリー映画の金字塔。ミステリー映画としてもホラー映画としても最高峰の傑作映画として名高い。

『悪魔の手毬唄』は1977年に公開された日本映画で、横溝正史の作品を映画化したものであり、製作は東宝映画、配給は東宝である。

物語は、由良家と仁礼家の二大勢力に分かれた鬼首村で発生した殺人事件に焦点を当て、金田一耕助が真犯人を探るというものであり、石坂浩二の金田一耕助シリーズ第二弾である。

悪魔の手毬唄 予告篇

恨みが積って二十年。青い沼に悪魔の数え唄が流れて、美しい死体がまたひとつ・・・名探偵金田一耕助が、岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村で起こった奇妙な殺人事件に巻き込まれていく…。

『悪魔の手毬唄』(あくまのてまりうた)は、1977年(昭和52年)4月2日に公開された日本映画。横溝正史作の同名長編推理小説の映画化作品。

映画史に残るミステリー映画の金字塔。ミステリー映画としてもホラー映画としても最高峰の傑作映画として名高い。

20年前に迷宮入りした「青池 源治郎殺害事件」…青池リカ(岸恵子)の旦那の青池 源治郎は、顔の判別も不能な状態で殺された…青池 源治郎と恩田幾三との関係は?

青池リカ(岸恵子)の旦那の青池 源治郎は、顔の判別も不能な状態で殺された恩田幾三を詐欺師だと見抜いた青池 源治郎は、恩田が鬼首村での下宿先にしていた放庵の離れへ単身乗り込んでいき、逆に頭を殴られて殺されてしまった。発見したのは、夫の帰りが遅いのを心配したリカと、リカから事情を聞いた放庵。

金田一「死体は奥さんが確認したんでしょ」青池リカ(岸恵子)の旦那の青池 源治郎は、顔の判別も不能な状態で殺された…映画史に残るあまりにもグロテスクな顔の死体。視聴者にトラウマを刻み込んだ。青池リカ(岸恵子)の旦那の青池 源治郎は、顔の判別も不能な状態で殺された…映画史に残るあまりにもグロテスクな顔の死体。視聴者にトラウマを刻み込んだ。

磯川「それがね、死体とゆうものがな…顔全体が焼けただれ、見分けがつかん状態だったんです

青池 源治郎の顔は囲炉裏の火で焼けただれて判別がつかない状態だったが、着衣と体つきから、リカと放庵が青池 源治郎に間違いないと証言した。

磯川警部(若山富三郎)は、20年前に迷宮入りした「青池 源治郎殺害事件」の真相を調べるよう、金田一耕助に依頼する。

原作では「青池」は「アオイケ」と読むが、この1977年の劇場版は「アオチ」と読む。

腰が曲がった謎の老婆 / この老婆の本当の正体は誰か?

金田一耕助が仙人峠で会った腰が曲がった謎の老婆 / この老婆の本当の正体は誰か?金田一耕助が亀の湯に滞在して2週間ほど経った8月10日。用事で山向こうの総社の町に向かう途中の耕助は、放庵の5番目の妻、「おはん」(原作では「おりん」)と名のる老婆と峠道ですれ違う。

おはん「ごめんくださりやせ。おはんでござりやす。お庄屋さんのところへ、戻ってまいりました。なにぶん、可愛がってやってつかあさい」

金田一は磯川の勧めで総社へ調査に行き、その途上で老婆に遭遇する。総社の井筒でおはん(原作のおりん)の死亡を聞いた金田一は磯川に電話して放庵宅へ先行してもらい、自分も急行する。

金田一「じゃあ僕が仙人峠で会ったあの老婆は いったい誰なんだ…。

由良泰子の見立て殺人。あまりにも猟奇的な死に様。手毬唄の「枡屋の娘」になぞらえて殺害されている。

由良泰子(高橋洋子)の死体が発見される。夜を徹した山狩りの末、翌朝、村はずれの滝つぼで、由良泰子(高橋洋子)の死体が発見される。

県警の立花警部補(加藤武)達が犯行現場に到着する。泰子のあまりにも猟奇的な死に様を見て驚いている立花警部は絶句する「あっ、犯行現場…」

泰子のあまりにも猟奇的な死に様を見て驚いている立花警部は絶句する「あっ、犯行現場…」

由良泰子(高橋洋子)の死体はなぜか、漏斗を咥えさせられていた。由良泰子の死因は首をひも状のもので絞められたことによる窒息死だが、口にはなぜか、漏斗を咥えさせられていた。泰子の見立て殺人手毬唄の「枡屋の娘」になぞらえて殺害されている。

うちの裏の前栽に雀が三羽とまって
一羽の雀が言う事にゃ言う事にゃ
おらが在所の陣屋の殿様 狩好き酒好き女好き
わけても好きなが女でござる
女だれが良い升屋の娘 升屋器量よし
蟒蛇娘 升で量って漏斗で飲んで
日なが一日酒びたり酒びたり
それでも足りぬと返された

村出身の人気歌手・別所千恵(仁科明子)は、壁に映った老婆の影を見て叫び声を上げる。

別所千恵(仁科明子)は、壁に映った老婆の影を見て叫び声を上げる。不気味な腰の曲がった老婆の影。一体何者なのか?

この老婆の影は、金田一耕助が仙人峠で会った腰が曲がった謎の老婆と同じ人物である。壁に映った老婆の影を見て叫び声を上げる別所千恵。壁に映った老婆の影別所千恵(仁科明子)は、壁に映った老婆の影を見て叫び声を上げる。見事な絶叫クイーンの別所千恵「キャー!」

泰子の通夜が行われた晩、今度は仁礼家の娘の文子(永野裕紀子)が行方不明となり、文子の姿を探して屋敷の外に出た別所千恵(仁科明子)は、壁に映った老婆の影を見て叫び声を上げる。

アルフレッド・ヒッチコック監督の代表作『サイコ』に出演した元祖絶叫クイーンのジャネット・リー並みの絶叫。1970年代から80年代は絶叫シーンが1つの恐怖演出方法として確立された時期だった。

本作の絶叫シーンはいずれも見事な迫真の演技であり、視聴者にリアルな恐怖感を大いに伝搬した。

里子は老婆に扮したリカを目撃して犯行を悟り、翌日に文子の通夜に出かけるときから高祖頭巾の着用をやめた。この直後、青池里子(永島暎子)は老婆に扮した母親のリカを目撃してしまい驚きの表情を見せる。すべての犯行を悟り、翌日に文子の通夜に出かけるときから高祖頭巾の着用をやめた。青池里子は、老婆に扮した母親の青池リカを見てしまい、すべての真相を悟る。青池里子は、老婆に扮した母親の青池リカを見てしまい、すべての真相を悟る。

仁礼文子の見立て殺人。手毬唄の「秤屋の娘」になぞらえて殺害されている。本物の幽霊のような文子の死に様は、ミステリー映画史に残る恐怖のトラウマシーンとして名高い。最恐の瞬間。

仁礼文子が、仁礼家のぶどう酒工場で発見される。葡萄酒の樽に漬けられるという猟奇的なシーン。本物の幽霊のような恐ろしさ。1977年版『悪魔の手毬唄』の本物の幽霊のような文子の死に様はミステリー映画史に残る伝説のトラウマシーン。昨夜、通夜の席から忽然と姿を消した仁礼文子が、仁礼家のぶどう酒工場で発見される。葡萄酒の樽に漬けられるという猟奇的なシーン。本物の幽霊のような恐ろしさ。1977年版『悪魔の手毬唄』の本物の幽霊のような文子の死に様はミステリー映画史に残る伝説のトラウマシーン。辰蔵は仁礼文子の死体にまだ気づいていない…。辰蔵は仁礼文子の死体にまだ気づいていない…。辰蔵は何気なく後ろを振り返ると…「ああああああ…」と絶叫し気絶してぶっ倒れた。確かに気を失うレベルの恐怖。辰蔵は何気なく後ろを振り返ると…「ああああああ…」と絶叫し気絶した。仁礼文子の遺体を発見した辰蔵の叫び顔もなかなか怖い。気を失うレベルの絶叫シーンなので迫力がある。本物の死体を見たような真に迫っている。絶叫顔は、ホラー映画の醍醐味。ミステリー映画のレベルをはるかに超えた演技・演出。

文子の死体は醸造用の樽の中に漬けられ、上に大判小判が吊るされていた。文子の死体は醸造用の樽の中に漬けられ、上に大判小判が吊るされていた。

手毬唄の「秤屋の娘」になぞらえて殺害されている。

うちの裏の前栽に雀が三羽とまって
二番目の雀が言う事にゃ言う事にゃ
おらが在所の陣屋の殿様 狩好き酒好き女好き
わけても好きなが女でござる
女だれが良い秤屋の娘 秤屋器量よし爪長娘
大判小判を秤に掛けて
日なし勘定に夜も更けて夜も更けて
寝る間も無いとて返された

青池里子の見立て殺人。想定外の悲劇的な殺人…

金田一は、手毬唄の3番の詞を想定し、別所千恵の危険を察知するが、殺されたのは、別所千恵ではなく、青池里子だった…。
村はずれの峠道で里子の死体が発見される。村はずれの峠道で青池里子の死体が発見される。 傍らには錠前と鍵が落ちていた。里子を殺した凶器は、砂を詰めた一升瓶。
背後から近づいた青池リカは、それが自分の娘の青池里子であるとは気付かずに撲殺してしまった。別所千恵ではなく、実の子の青池里子を殺してしまったリカ…。背後から近づいた青池リカは、それが自分の娘の里子であるとは気付かずに撲殺してしまった。別所千恵ではなく、実の子の青池里子を殺してしまったリカ…。

手毬唄の3番の歌詞『女誰がいい 錠前屋の娘』になぞらえて殺害されている。

うちの裏の前栽に雀が三羽とまって
三番目の雀が言う事にゃ言う事にゃ
おらが在所の陣屋の殿様 狩好き酒好き女好き
わけても好きなが女でござる
女だれが良い錠前屋の娘 錠前屋器量よし小町でござる
小町娘の錠前が狂うた
錠前狂えば鍵合わぬ鍵合わぬ
鍵が合わぬと返された

20年前の「青池源治郎殺害事件」の被害者は一体誰なのか…恩田 幾三?青池源治郎?

恩田幾三と青池源次郎二人の写真がない!これは何を意味するのか?

2つの見立て殺人とは別に、迷宮入りした20年前の事件の調査を進めていた耕助は、加害者・恩田の写真も、被害者・源次郎の写真も、捜査資料の中に残されていないことに気付く。

恩田の場合は、本名がわからなかったために、正式な身元調査ができなかったこと、源次郎の場合は、鬼首村に戻るにあたり、弁士時代の思い出の品はすべて焼き捨ててしまったことが原因だった。

20年前の被害者が確かに青池源次郎であることを確かめるには、身体的特徴を調べるのが一番だと耕助に指摘された磯川は、恩田と一番親しかった人物、別所春江(渡辺美佐子)に会いに行く。

磯川「恩田の何か肉体的な特徴ちゅうものはなかったっすかの?」

別所千恵の母・春江に恩田 幾三(おんだ いくぞう)の身体的特徴を聞くと「足の中指が人よりも長かった」と答えます。

別所春江は、恩田の写真は持っていなかったが、身体的特徴ははっきりと覚えていた。恩田の足の指がとても変わっており、左右ともに中指が異常に長かったと言う。

磯川常次郎(演:若山富三郎)は、20年前の事件で死体を検案した地元医師・権藤(大滝秀治)に、「青池源治郎殺害事件」の死体の写真(スクラップブック)を見せてもらう(グロい死体写真だらけ)。

目的の写真を見つけた磯川「これだ!」…確かに、死体の両足の中指がかなり長い。

磯川「この死体の足の中指は、普通の人間より長いと思いませんか?」

磯川「この死体の足の中指は、普通の人間より長いと思いませんか?
権藤「ああ、異常に長かったのをはっきり覚えとるわ
磯川「しかし検死調書には、そのことは書かれていなかった!」
権藤「ふん!そんなことは死因に関係ねえだろ!」

そこに金田一が来た。

磯川「金田一さん、殺されたのはやっぱり恩田だった。

金田一は磯川が髭剃りに使った鏡に写った蜜柑を別の1個と錯覚したことをヒントに「一人二役」に気づく。金田一は「青池源治郎=恩田 幾三」(一人二役)という証拠(物的証拠となる源治郎の写真)を手に入れるために、神戸へ向かう。野呂「大河内伝次郎傑作時代劇三本立てのお前これ、特別興行の案内状じゃないか。馬鹿だねーあいつぁー。この方が探してるのは写真だよ。青柳洋次郎の。おっ、ここにいるのは青柳だよ」

野呂「大河内伝次郎傑作時代劇三本立てのお前これ、特別興行の案内状じゃないか。馬鹿だねーあいつぁー。この方が探してるのは写真だよ。青柳洋次郎の。おっ、ここにいるのは青柳だよ

金田一「ヘっ!?」
野呂「4人ほど弁士の顔写真が印刷されてあるだろう。その一番右のがそうだよ
野呂「この興行はな、有名な弁士を集めて共演させるのが呼び物のひとつでもあったんだな」

金田一は、神戸で無声映画の弁士時代の芸名:青柳洋次郎(青池源治郎)の写真をとうとう手に入れて、村へ戻る。

恩田幾三と青池 源治郎は同一人物(一人二役)…犯人が分かる伝説の見せ場の「写真鑑定シーン」

恩田幾三と関係があった由良敦子・別所春江・仁礼(司)咲江の3人を権堂医院に集めた。磯川常次郎(演:若山富三郎)は金田一の依頼で、恩田幾三と関係があった由良敦子・別所春江・仁礼(鳥取に嫁に出て性が変わり「司」)咲江の3人を権堂医院に集め、狙われた娘たちがすべて恩田のタネであったことや手毬唄の内容を説明しているところへ金田一が写真を持って到着し、恩田と源治郎が同一人物であることを確認する。

写真鑑定してもらうために金田一が神戸で見つけた無声映画の弁士だった青柳洋次郎、つまり青池源治郎の写真。恩田幾三は偽名であり、青池源治郎の一人二役。この写真は、恩田と源治郎が同一人物である証拠の品。金田一が神戸で入手した無声映画の弁士だった青柳洋次郎、つまり青池源治郎の写真。

恩田幾三は偽名であり、青池源治郎の一人二役。この写真は、恩田と源治郎が同一人物である証拠の品。

金田一耕助は、「小さくて恐縮なんですが、3人で回してご覧になってください。右の人です。写真の主はひげを生やしておりませんが、一つ鼻の下にひげがあるものとして鑑定していただきたいんです」と言って、神戸で手に入れてきた1枚の写真を3人に見せる。金田一耕助は、「小さくて恐縮なんですが、3人で回してご覧になってください。右の人です。写真の主はひげを生やしておりませんが、一つ鼻の下にひげがあるものとして鑑定していただきたいんです」と言って、神戸で手に入れてきた1枚の写真を3人に見せる。

写真を見た仁礼(司)咲江はびっくりする…。写真を見た仁礼(司)咲江は悶絶…びっくりする…。伝説の名シーン。写真を見た3人の奥様ともびっくり。迫真の名演技。

由良敦子「あんた、どこでこがいな物手に入れんさった!?これは恩田幾三の写真ですがな!

由良敦子奥さんから、金田一が求めていた回答が早速出て来た。

びっくりする磯川「恩田の写真じゃと?

金田一耕助「咲江奥さん、あなたはあの写真の主を誰だとお思いですか?」

仁礼(司)咲江「確かに、今敦子さんがお言いんさった人じゃと

金田一耕助「春江奥さん、あなたのご意見は?」

涙を流す別所春江「はい…千恵の父です。決して間違いございません

3人の奥さんの対応が三者三様なのも見どころになっている。

金田一耕助「皆さん、この写真は恩田ではなく、無声映画の弁士だった青柳洋次郎、つまり青池源治郎の写真なんです

驚きを隠せない磯川「そ、そ、それじゃあ、恩田幾三と源治郎とは同一人じゃったんですか?

金田一耕助「ええ」

恩田幾三の正体は、かつて神戸で人気を博した活弁士「青柳洋次郎」、すなわち殺害された「亀の湯」の主人・「青池源治郎」本人であった。

詐欺師・殺人犯の容疑をかけられ指名手配された恩田幾三が、警察の必死の捜索にも関わらず行方知れずになったのは、被害者・青池源治郎として既に死亡していたからであった。

物語の核心(トリック):恩田幾三は偽名であり、青池源治郎の一人二役であった。真犯人は、「青池リカ」だった。哀しき殺人者…青池リカが悪魔になってしまった理由…「恩田幾三=青池 源治郎」の血を引く3人の娘「泰子」「文子」「千恵」を全員殺してしまおうと思い立つ。

家系図を書く金田一:「恩田幾三=青池 源治郎」の血を引く3人の娘「泰子」「文子」「千恵」
なんと恩田幾三と青池 源治郎は同一人物だった。恩田幾三は偽名であり、青池源治郎の一人二役であった。

事件の真相を理解した磯川「金田一さん…犯人は…リカさんか…

無言でうなずく金田一。驚愕の真相…犯人は「青池リカ」だった。

20年前に迷宮入りした「青池 源治郎殺害事件」の真相:恩田幾三こと青池源治郎を殺害した犯人は、彼の妻である「青池リカ(岸 惠子)」であった。そして「泰子」「文子」「里子」の3人を殺したのもリカであった。

仲良し4人組は、皆、恩田幾三(=青池源次郎)の子。歌名雄(かなお)が、腹違いの妹である泰子と結婚したいと言い出したのだ。それは不可能なこと。近親相姦だ。本当の理由は説明できないリカがいくら反対しても説得力がない。いくら反対しても歌名雄は結婚をあきらめようとしない。そして今度は、もう1人の妹である文子までが結婚を申し込んできた。そんな時、千恵が村に帰ってくるという知らせが入る。

里子の異母妹への妬みも積もっていた。文子、泰子、千恵子らが幸福な人生を謳歌しているにもかかわらず、源治郎の正妻であるはずの自分の娘・里子が生まれながらの赤痣をコンプレックスにして人目を避けながら不遇な日々を過ごしているという現実が、精神的鬱屈としてリカを苦しめた。特に、国民的スターとして一世を風靡する別所千惠は、かつて三味線奏者として芸能界に身を置いていた彼女にとって、苛立ちと嫉妬心をより一層かきたてる存在であった。

青池リカは、これを機会に、「恩田幾三=青池 源治郎」の血を引く3人の娘「泰子」「文子」「千恵」を全員殺してしまおうと思い立つ。

リカは、泰子と文子を手毬唄の「枡屋の娘」「秤屋の娘」になぞらえて殺した。あとは、千恵を殺せば、目的は達成できるはずだった。ところが、泰子の通夜の晩、里子が老婆に化けた母を目撃してしまった。

翌日文子も殺され、里子は母が連続殺人の犯人であることを確信し、それを、体が弱いのを理由にいつまでも蔵に閉じこもってばかりいる自分を不憫がってのことだと勘違いした。頭巾を取って外出したのは、「自分はもう母や兄には頼らないから心配するな」というメッセージのつもりであった。そして密かに母を観察し、母がこっそりと千恵のバッグに手紙をしのばせるのを目撃した。千恵と自分のバッグをすり替えて、中の手紙を読んだ里子は、待ち合わせの場所へ行って母を止めようとした。

だが、背後から近づいたリカは、それが自分の娘であるとは気付かずに撲殺し、手毬唄の3番の歌詞『女誰がいい 錠前屋の娘』になぞらえて、別所家の屋号である錠前をその場に残して立ち去ったのだった。

20年前の「青池源治郎殺害事件」の真相…逆上した青池リカは我を忘れ、その場にあった薪で青池源治郎の頭を殴りつけて殺してしまった。

20年前、トーキー映画が始まって失業してしまった青池源治郎は、恩田幾三という偽名を使って月に1度鬼首村に現れ、モール作りの売り込みを始めた。その後、亀の湯の次男として村に戻ってきた源治郎は、井筒屋や放庵の離れを利用して1人2役を演じ続け、由良敦子、別所春江、仁礼咲江との逢引を重ねた。

そんな源治郎の企みに気付いた人物がいた。離を貸していた庄屋の末裔・多々羅放庵だ。

リカ「夫が恩田の化けの皮を剥がすと言って出ていった後、お庄屋(放庵)が入って来たんです。お庄屋は、夫のからくり(一人二役)を世間にバラされたくなかったら、自分の言うことを聞けと私に言い寄りました。

放庵から事実を聞かされたリカは、恩田幾三の鬼首村での住処である放庵の離れに乗り込んでいった。すると、青池源治郎はリカに詫びるどころか、身重のリカと歌名雄を亀の湯に残して、別所春江とともに満州へ行くつもりだとぬけぬけと言い放った。

散々裏切られた夫の源治郎への愛憎によって徐々に精神を蝕んでいった身重のリカは、とうとう爆発してしまった。源治郎を衝動的に殺してしまった。発作的に行われた無計画な殺害であったが、放庵の協力もあり迷宮入りさせることに成功した。

リカに薪で後頭部を殴られて前に倒れた源治郎は、そのまま囲炉裏の炎に顔を突っ込んだ…。逆上したリカは我を忘れ、その場にあった薪で源治郎の頭を殴りつけて殺してしまった。前に倒れた源治郎は、囲炉裏の炎に顔を突っ込んだ…。源治郎の顔面が炎で焼かれ、ひどく損傷していく…。あまりにもグロテスクなトラウマシーン。源治郎の顔面が囲炉裏の炎で焼かれ、ひどく損傷していく…。あまりにもグロテスクなトラウマシーン。

一部始終を陰で見ていた放庵は、殺害現場に乗り込んできて、返り血に染まっているリカを無理やり手込めにしてしまった。

以降、放庵は、すべてを秘密にする代わりに、リカの体と生活の面倒を要求した。

リカは、犯行を自供後、沼に入って自殺を測る。人食い沼で見つかった水死体=真犯人(リカ)の顔を見て驚愕する歌名雄。

青池リカは人食い沼に身投げをして自殺していた。犯人の死体が沼から引き上げられたと聞いて、駆けつける歌名雄。磯川は歌名雄を止めようとする。青池リカは人食い沼に身投げをして自殺していた。犯人の死体が沼から引き上げられたと聞いて、駆けつける歌名雄。磯川は歌名雄を止めようとする。

青池リカは人食い沼に身投げをして自殺していた。犯人の死体が沼から引き上げられたと聞いて、駆けつける歌名雄。歌名雄「放してくれ!殺した奴の顔を見たいんだよ!」

金田一が近づいて言う、「磯川さん、歌名雄君の好きなようにしてあげたらどうでしょうか。」

真犯人(母親のリカ)の顔を見て驚愕する歌名雄。母親であることを知って号泣する。「嘘やー!!母さん、母さん!」恋人を殺された歌名雄は犯人の顔を見ようとする。真犯人の顔(母親のリカ)を見て驚愕する歌名雄。母親のリカであることを知って号泣する。「嘘やー!!母さん、母さん!」。絶叫が響き渡る「母さん…母さん…」。

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