「泣きゲー」は、家庭用ハードの美少女ゲームやギャルゲーおよびPC用18禁アダルトゲーム(エロゲー)などにおいて、性的要素だけでなく、シナリオに「泣き」「感動」の要素を取り入れた「プレイすることで感動を呼び起こされ、泣けるゲーム」を指す俗語。感動する「泣ける要素」が強調されているゲーム。

何によって、どのように感動するかは、人それぞれであり、泣ける要素、感動する所は人によって違うため他のジャンルと比べてもかなり曖昧な定義になっている。それゆえに、個々の作品が泣きゲーか否かに関しては意見が分かれる場合が多く、厳密なカテゴリやジャンルとして各作品を明確に区分することは難しい面がある。

「泣きゲー」の原点/源流

「同級生2」の杉本桜子(すぎもと さくらこ)のシナリオは「泣きゲー」の原点

アダルトゲーム史上最大のヒット作である「同級生2」の人気を牽引した「妹萌え」の始祖的存在の「鳴沢 唯」と人気を二分する存在となる「杉本桜子」。アダルトゲーム史上最大のヒット作である「同級生2」の人気を牽引した「妹萌え」の始祖的存在の「鳴沢 唯」と人気を二分する存在となる「杉本桜子」(すぎもと さくらこ)

 

杉本桜子(すぎもと さくらこ)とは、エルフの18禁の恋愛アドベンチャーゲームの金字塔「同級生2」(1995年)に登場する隠しキャラクター。孤独な闘病生活を送る儚げな美少女・杉本桜子との交流を描くサブシナリオは、「泣きゲー」の元祖的な源流のひとつと評される。

病名不明の重病を患ったため、3年前から長期入院している少女。はかなげでありながら可憐な姿。性格は極めておとなしく、優しい心の持ち主。本来なら八十八学園に通って主人公の同級生となるはずであった。窓からの景色しか目にできず、ターボという名の小鳥だけが友達の寂しい闘病生活を過ごしていたある日、ひょんなことから主人公と出会う。

杉本桜子は、隠れキャラ(サブシナリオ)の扱いであったが、泣ける要素が入ったシナリオの出来から、妹萌えの始祖であるメインヒロインの鳴沢 唯(なるさわ ゆい)と人気を二分するほどの大きな存在となる。

隠しヒロインの杉本桜子は、病院の窓に映っている小さな姿をクリックすることで登場する。画面を注視しないと探し出すのはやや困難。泣きの要素が入った杉本桜子のシナリオは、「泣きゲー」のはしりと言われる。隠しヒロインの杉本桜子は、病院の窓に映っている小さな姿をクリックすることで登場する。泣きの要素が入った杉本桜子のシナリオは、「泣きゲー」のはしりと言われる。

杉本桜子は、普通にプレイしているだけでは出現しない。隠しキャラであり出現条件は、病院に訪れた際に病院の窓に桜子が映っている事があるので、そこをクリックする事。画面を注視しないと探し出すのはやや困難。

『ToHeart』のHMX-12マルチのシナリオは「泣きゲー」の原点

萌えの代名詞と語り継がれているメイドロボの「マルチ(正式名称 HMX-12型)」ルートは後に「泣きゲー」ブームを生み出す大きなきっかけになった・「泣きゲー」の原点

マルチは家庭用汎用アンドロイドの試作型メイドロボ。テストとして藤田浩之らが通う高校に1年生として入学してくる。作中では、学校の階段で転びそうになる所を浩之が受け止める形で初登場した。マルチ(正式名称 HMX-12型)は家庭用汎用アンドロイドの試作型メイドロボ。テストとして藤田浩之らが通う高校に1年生として入学してくる。作中では、学校の階段で転びそうになる所を浩之が受け止める形で初登場した。

HMX-12マルチとは、Leaf制作の18禁ビジュアルノベル第三弾「ToHeart」(1997年)のヒロインの一人。来栖川重工で一般家庭向けメイドロボとして開発されたアンドロイド。正式名称は「HMX-12″マルチ”」。

「同級生2」と並ぶ恋愛アドベンチャーゲームの先駆者である「ToHeart」は、ヒロインの多彩さが魅力となっていた。日常的な学校が舞台でありながら、非日常的なSFやオカルト要素が色濃いキャラクターもおり、メイドロボの「マルチ(正式名称 HMX-12型)」、制御しきれない超能力に悩む「姫川琴音」、全編通してほぼ喋らない無口な黒魔術系先輩「来栖川芹香」など、いずれも印象的な存在であり、当時の学園系ギャルゲーにおいては非常に先進的だった。

マルチは、「はわわ~」が口癖。その上、超が付くドジっ娘であり、時々オーバーヒートして倒れてしまう事もある。マルチは、「はわわ~」が口癖。その上、超が付くドジっ娘であり、時々オーバーヒートして倒れてしまう事もある。マルチは、現在でも萌えの代名詞と語り継がれている。

HMX-12マルチは、ドジや失敗が多いものの、健気で一生懸命な一面もあり、エンディングで涙を流した人は少なくない。彼女の話は、感動を与え、泣かせるという新しいジャンルを開拓し、後に「泣きゲー」ブームを生み出す大きなきっかけになった。つまり、「マルチ」ルートは「泣きゲー」の原点ともいえる話である。

【ストーリー】
新型メイドロボのテストとして来たマルチだったが、何かに付けてトラブルを起こす為浩之はその世話をいつも焼いていた。

「美味しいってどんな感じですか?」

あまりにもロボットらしくないマルチに次第に惹かれていく浩之だったが、テストが終わると同時にマルチと別れる事になった。浩之はそれを断固拒否したが、マルチは浩之との思い出を絶対に忘れないからと言い残し工場へ向かった。

 

それから数年後、大学生になった浩之は父親に頼み、商品化された量産系マルチを購入した。しかし、それは人間味の無い文字通りの「ロボット」だった。それでもマルチの妹なので少しでもマルチの心が入っているだろうと信じ話しかけつづける浩之の元にある日、開発者から「以前のマルチ」のデータが入ったDVDロム(と遊園地でマルチに買ってあげた「麦わら帽子」)が届いた。そこでメイドロボにアップデートすると「元のマルチが目を覚ました」のであった。

「…浩之さん…」
「マルチ…」
「…あ、会えた。また、会えました…」
「マルチ!」
「浩之さあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~ん!」

かなり多くのプレイヤーが号泣したエンディング。

「泣きゲー」のジャンルを確立した記念碑的名作

泣きゲーの始祖的存在「ONE~輝く季節へ~」

実質的なKeyの初期作品「ONE~輝く季節へ~」は「泣きゲー」のジャンルを開拓した作品の一つとして挙げられる。実質的なKeyの初期作品「ONE~輝く季節へ~」は「泣きゲー」のジャンルを開拓した作品の一つとして挙げられる。

『ONE 〜輝く季節へ〜』は、株式会社ネクストンの1ブランドTactics(タクティクス)から1998年5月29日に「心に届くADV第2弾」として発売された18禁恋愛アドベンチャーゲームである。恋愛ゲームの転換点とも言われている。「泣きゲー」の元祖と呼ばれている作品。

現Key所属のスタッフが中心に製作したゲームであり、Keyのゲームと同列に扱われるのが通例である。ほのぼのとした恋愛パートでプレイヤーを感情移入させ、終盤の劇的な別れと再会で感動させる、という本作の構成はその後、恋愛ゲームの定番スタイルの一つとなった。そのため、俗に言う「泣きゲー」のジャンルを開拓した作品の一つとして挙げられる。

「泣きゲーの元祖」とも呼ばれるだけあって話題に挙がることが多い。ライトノベル作家の本田透氏やシナリオライターの奈須きのこ氏は影響を受けたと言及している。シナリオライターの元長柾木氏は存在自体が奇跡でありコピーできるような代物ではないと評している。

泣きゲーの金字塔『Kanon』

『Kanon』(カノン)は、ゲームソフトメーカーである株式会社ビジュアルアーツに所属するゲームブランドの一つKey(キー)が1作目に制作した恋愛アドベンチャーゲーム、およびそれを原作としてメディアミックス的展開がなされたアニメやコミックなどの作品群のことをいう。少年少女の恋愛劇にファンタジーなどを絡めたアドベンチャーゲームであり、シナリオが感動に特化した泣きゲーとして支持を集めた。いわゆる「泣きゲー」と呼ばれるジャンルの先駆けとなった作品で「泣きゲーの金字塔」と呼ばれ、以後の恋愛アドベンチャーゲームに多大な影響を与えた。

 

『Kanon』 オープニングムービー

Keyブランドは、「泣きゲー」ジャンルの草分けかつ代名詞的存在

Keyは、株式会社ビジュアルアーツを代表するゲームブランドである。恋愛アドベンチャーゲームに「泣き」「感動」「笑い」の要素を取り入れた「泣きゲー」ジャンルの草分けかつ代名詞的存在として知られる。第1作『Kanon』・第2作『AIR』・第3作『CLANNAD』・第6作『リトルバスターズ!』・第7作『リトルバスターズ!エクスタシー』、というフル規格の作品で初版10万本以上の大ヒット級と言える売り上げを上げている。

ノベルゲームとして見ても、独特の手法が後進のブランド・シナリオライターに与えた影響は大きく、『Fate/stay night』などでシナリオを手掛ける「奈須きのこ」、『ひぐらしのなく頃に』のクリエイター「竜騎士07」などがKeyから影響を受けたと語っている。

D.O.の『加奈~いもうと~』


『加奈 〜いもうと〜』は、1999年6月25日にディーオーより発売されたアダルトゲーム。「泣きゲー」の代表作の1つ。病のためにありふれた日常生活もままならない妹・加奈の成長と、彼女を支え続ける兄の心情を、幼年期・中等期・高等期という3つの時代の流れを通して描く。

泣きゲーの記念碑的な名作「AIR」

『AIR』(エアー)は、Keyが制作した2作目の恋愛アドベンチャーゲーム。前作『Kanon』と同様に少年少女の恋愛劇に不可思議要素を絡めたアドベンチャーゲームであり、シナリオが感動に特化した泣きゲーとして支持を集めた。

Windows用ゲームとして2000年9月8日に18禁初回版が、2001年7月19日に18禁通常版が、7月27日に全年齢対象版が発売された。また、2005年4月8日に全年齢対象版に含まれたイベントCGを追加したWindows用DVD-ROM『AIR Standard Edition』(18禁)が発売された。2010年5月28日には、Windows VistaとWindows 7への対応版(全年齢対象)が『AIR メモリアルエディション全年齢対象版』の名称で発売された。2021年9月9日に、Nintendo Switch版の『AIR』がリリース。

『AIR』 オープニングムービー (高解像度)オープニングテーマ「鳥の詩」

シナリオは第一部「DREAM編」・第二部「SUMMER編」・第三部「AIR編」の三部構成となっている。

第1部“DREAM”編:現代が舞台であり、主人公であるさすらいの人形遣いの青年(国崎往人)が、海辺の田舎町で偶然出会った少女達と紡ぐひと夏の物語が描かれる。ゲームの進行は、プレイヤーが選択肢を選びながら男性主人公がヒロインを攻略するというもので、一般的な美少女ゲームと同様である。

第2部“SUMMER”編:すべての発端となった、1000年前(西暦994年)の夏の祖先たちの旅路。神尾観鈴の正体は空にいるもう一人の自分である神奈備命の魂が人間に転生したものである。

第3部“AIR”編:プレイヤーは、カラスへと転生した往人(第三者)視点より、二人が出会った日からの記憶を辿る。往人が消えたあの日、人形に封じられた数多くの魂の力により観鈴の前にそらに転生していた往人が現れ、観鈴の癇癪が起きる呪いを消しさり、観鈴の寿命を少し延ばす。

「ゴールっ…」晴子の胸元へと倒れ込み、観鈴は空に還った。「ゴールっ…」晴子の胸元へと倒れ込み、観鈴は空に還った。

クライマックスの「もう、ゴールしていいよね」。「ゴール…」、観鈴は誰も成し遂げられなかった1000年もの悲しみの輪廻を終わらせた。観鈴は幸せそうな顔で幸せだった思い出とともに空へ逝った…

泣きゲーの決定版「CLANNAD」

『CLANNAD』(クラナド)は、Key制作による恋愛アドベンチャーゲーム。また、これを原作とするアニメ、コミック作品。少年少女の恋愛、友情・家族愛などのテーマを描き、泣きゲーとして支持を集めた。『Kanon』、『AIR』が18禁のPCゲームとして発売されたのに対し、本作は全年齢対象のPCゲームとして2004年4月28日に発売された。

『CLANNAD』 オープニングムービー (高解像度)

Key公式サイト(Official HomePage)

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