懐かしい1970年代から90年代の昭和の特撮ドラマの中で、特撮史に残る衝撃的なトラウマ回(トラウマシーン)を振り返ってみましょう。現代の地上波では放送が不可能な過激で衝撃的かつトンデモない面白いネタが勢ぞろいです。昭和特撮のトラウマ回(トラウマシーン)特集のまとめ第1弾。
スペクトルマン / 特撮史に残るトラウマシーンの宝庫
『宇宙猿人ゴリ』第6話「美しい地球のために!!」 / ヒーローが人間を襲う衝撃的な展開…ネヴィラ71の命令通りにスペクトルマンは、たけし親子3人を殺そうとする。
ゴリは「たけし少年親子」を秘かに「恐怖公害人間」に変えてしまう。3人をこのままにしておけば地球上に公害伝染病が蔓延して人類は滅亡する。
人類を救うためとは言っても、罪のない3人の親子(人間)をスペクトルマン(ヒーロー)が殺そうとするショッキングなシーンが展開される。
ネヴィラ71「スペクトルマンに告ぐ。すぐ変身せよ。あの3人の親子を殺せ!」
ネヴィラ71「彼らはゴリによって作られた恐怖公害人間である。」
ネヴィラ71「彼らによって公害伝染病が地球上に蔓延すれば、たちどころに人類は絶滅の危機にあうであろう。」
蒲生 譲二(がもう じょうじ)=スペクトルマン「あの親子を・・・罪のないタケシちゃんを殺せと言うのか!殺せと!」
ネヴィラ71「人類の滅亡を救うためだ。躊躇せず殺せ!」
ゴリの悪質な陰謀に巻き込まれた罪なき「たけし親子」を殺せというネヴィラ71の非情な命令。苦渋の決断を迫られるスペクトルマン。
蒲生 譲二・スペクトルマン「できない・・・あの罪のないタケシちゃんを殺すことなんて…俺にはできない…」
ネヴィラ71「スペクトルマンに告ぐ。変身せよ!あの3人の親子を殺せ!」
スペクトルマン「それはできない!頼むネヴィラ71、少し時間を…猶予をください」
ネヴィラ71「人類の滅亡を救うためだ。躊躇するな。変身せよ!」
ネヴィラ71「お前の数秒のためらいが数十万の人々の生命に関わるのだ。変身せよスペクトルマン」
スペクトルマンに変身する「了解!」
ネヴィラ71の命令通りにスペクトルマンは、たけし親子3人を殺そうとする。人類を救うためとは言っても、ヒーローが人間を襲う衝撃的な展開だ。
たけしちゃんは「ぼくのパパやママに何するの!?やめてよ!」と両親を手にかけようとするスペクトルマンを必死に止めます。
たけしくんの声で我に返り、思いとどまったスペクトルマン。やはりスペクトルマンには罪のない3人の親子(人間)を殺すことはできなかった。
ネヴィラ71「スペクトルマン、お前は命令に従わなかった。即刻、ネヴィラ71に送還する」
「人類の滅亡を救うために3人の親子を殺せ!」という命令に背いたスペクトルマンはネヴィラ71に強制送還させられる。
『スペクトルマン』第59話「地獄の使者ジェノス星人」 / ジェノス星人に殺人鬼に変えられた人が街中で道行く人々を惨殺していく、特撮史に残るショッキングな展開。
ジェノス星人は、特殊な薬品で死人を生き返らせて殺人鬼に変え、人間同士で殺し合いをさせるジェノサイド計画を開始した。ゴリと手を組んだ悪の宇宙人「ジェノス星人」の陰謀に巻き込まれた罪なき人々が犠牲になる過酷なドラマエピソード。
ジェノス星人に殺人鬼に変えられた人が次々とナイフで人を襲うスプラッター展開。殺された男性の知り合いの女性も背中をナイフで刺される。血が吹き出す演出まで。
殺人鬼によって次々とナイフで無差別に人が殺されていく地獄絵図。
警察官二人がこの殺人鬼を射殺したが、ジェノス星人は、次々と特殊な薬品で死人を生き返らせて殺人鬼に変えていた。
『スペクトルマン』第60話「怪獣ドクロン死の踊り」 / 蒲生 譲二(がもう じょうじ)は、なんとガスバーナーで眼を焼かれてしまう。特撮史に残る残酷描写。
ゴリがガスバーナを持ってきた…まさか蒲生 譲二(がもう じょうじ)に対する拷問に使う気なのか…あまりにもヤバ過ぎる展開に。
なんと蒲生 譲二(がもう じょうじ)はガスバーナーで眼を焼かれてしまう。現代の放送では不可能なあまりにも危険すぎる残酷描写。
譲二の焼かれて失明した目が痛々しい
蒲生 譲二(がもう じょうじ)は視力を失ったままの状態でスペクトルマンに変身。なんとスペクトルマンの目も焼け爛れた失明状態に…。巨大ヒーローとは思えない痛々しいショッキングな顔だ。スペクトルマンの焼け爛れた目が痛々しい。
特撮の三大発狂シーン / 特撮史上屈指のヤバすぎるトラウマ回。敵の罠に落ちて主人公が発狂させられてしまう。
『愛の戦士レインボーマン』第9話「タケシを狂わせろ」 / ヤマトタケシが完全に狂人になってしまう特撮屈指のヤバ過ぎる話。
『愛の戦士レインボーマン』第9話「タケシを狂わせろ」では、ヤマトタケシは発狂錠剤・キャッツアイを一服盛られた上に、電気ショックを食らう。
ヤマト タケシ「ジュースをください!」
タケシが注文したジュースに人間を狂気にする薬・キャッツアイを入れられてしまう。タケシはキャッツアイ入りのジュースを飲み干してしまう。時間が立ち、キャッツアイの効果が出てくるとタケシはとうとう狂いだす。
第9話「タケシを狂わせろ」で死ね死ね団員にキャッツアイ入りの飲料を飲まされて狂気に陥ったうえ、続く第10話「やつらを殺せ!」で死ね死ね団配下の医師の手で完全に狂人になってしまったが、ヨガの眠りで毒素を排出して回復する。 まだ完全には狂人になっていないヤマトタケシに電気ショックを施す。
タケシは精神科医に連れて行かれるが、そこにいた医師は、死ね死ね団配下の医師だった。松尾精神病院に強制入院させられたタケシに、死ね死ね団の息がかかった川島医師は、タケシをベッドに縛り付けて電気ショックを与える。 電気ショックを徹底的に受けて、ほとんど狂人化したヤマトタケシ。
タケシは、さらに狂人にするための念押しの施術を施されてしまう。電気ショックだけでなく、とどめとして音波と光の洪水を受けたタケシは完全に狂人となってしまう。 完全に狂ってしまったヤマトタケシ…大ピンチだ。
発狂した人間が檻の中に沢山いる描写は、現代ではまったく放送するのが無理なヤバさ。
キャッツアイで狂人にされた人たちがいる牢屋に入れられるヤマトタケシ。力を使い果たしていたタケシの身体は、本能的に、無意識のうちに勝手に座禅を組みだす。 ヤマトタケシは本能的に、ヨガの眠りに入った。ヨガの眠りの力で、体内の毒素は汗として流されていく・・・キャッツアイも排出される。
ヨガの眠りによってキャッツアイは完全に排出され、タケシは元通りに回復した。
『サンダーマスク』第19話「サンダーマスク発狂」 / 正義のヒーロー「サンダーマスク」がシンナー中毒の廃人・狂人に。
『サンダーマスク』第19話「サンダーマスク発狂」では、主人公の命光一の脳みそと脳波魔獣 シンナーマンの腐った脳みそを入れ替えてしまう。
『サンダーマスク』第19話「サンダーマスク発狂」の番組冒頭では、若者たちがビニール袋にシンナーを入れて、吸っています。現代ではできない危険な描写。
「シンナーマン」はシンナー中毒者の脳をストローで吸い食べることで成長する。シンナー中毒者の額に穴を開けて、ストローを刺して、脳みそを食べるシンナーマン。
敵の画策に謀られ、シンナーマンの腐りきった脳みそと命光一(サンダーマスク)の脳みそを入れ替える移植手術が行われる。
狂った命光一(サンダーマスク)「ウヘヘヘ、ウヒヒヒヒ・・・ウヒウヒ・・エヘヘヘヘ・・・」
正義のヒーローがシンナー中毒の脳みそを移植され、狂ってしまう。
命光一の脳(サンダーマスクの脳)とシンナーマンの脳を交換する手術によって、命光一(サンダーマスク)の脳がシンナーマンの脳になってしまう。
そのため、命光一(サンダーマスク)はシンナー中毒の廃人・狂人になってしまう。正義のヒーローが狂ってしまった…警察も制止できないほど、暴れまくる狂った命光一(サンダーマスク)。
封印作品(欠番)『怪奇大作戦』第24話「狂鬼人間」 / 精神異常者の犯罪に対するストレートな問題提起がなされた問題作。
『怪奇大作戦』(1968年)の封印作品(欠番)の第24話「狂鬼人間」では、牧史郎(演:岸田森)は「脳波変調機」によって一時的に発狂してしまう。
精神異常者(一時的な精神異常状態)による不可解な殺人事件が続発していた。精神異常状態の殺人犯たちは、「狂わせ屋」こと美川冴子(演:姫ゆり子)の「脳波変調機」によって、一時的に重度の精神異常となり、犯行を実行したことが判明する。 牧史郎(まき しろう)は、第24話「狂鬼人間」では「山本英二」という偽名で狂わせ屋を誘き出す芝居を野村 洋(のむら ひろし)と小川 さおり(おがわ さおり)と決行するが、気づかれて狂人にされた。
脳波変調機で狂人にされてしまう牧史郎。
おとり捜査を行う牧史郎をSRI(科学捜査研究所)だと見抜いていた美川冴子に「脳波変調機」にかけられながら、実弾を入れ直した拳銃を持たせられる。狂人と化した牧は往来で拳銃を乱射しながら野村を追い回し、危うく殺人犯になりかけるも駆けつけた警官に取り押さえられる。
的矢所長とさおりから逃げる冴子は、脳波変調機を自ら身に着けると、ダイヤルを最大に上げる。
二人が追いついた時には、すでに冴子は顔に狂気を浮かべていた。
ラストシーンでは、とある精神病院には狂人となった冴子がいた。「か~らす~、なぜなくの~、からすはやまに~…(最後に「ぎゃあああー」という悲鳴が挿入される)」
『鉄人タイガーセブン』(1973年) / 子供向きとは思えない驚くほどシリアスな展開。人知れず人口心臓の余命を迎える悲しき主人公。
『鉄人タイガーセブン』第23話「悪魔の唸り コールタール原人」 / なんと滝川剛(タイガーセブン)がバイクで子供をひいてしまう。非常に有名な鬱エピソード。
主人公の滝川剛(タイガーセブン)がバイクに乗って変身後にジャンプした時、無人のコントロールを失ったバイクが、逃げ遅れた子供をひいてしまうという衝撃的な話。このような子供向けヒーロー番組として異例の展開は、後年本作について語られる際に話題になっている。コールタール原人を追った滝川剛(タイガーセブン)が子供を轢いてしまう衝撃のシーン。
ヒーローが操縦するバイクが人身事故、子供を轢いてしまう。従来のヒーロードラマでは意識的に避けられていたタブー。
特撮として前代未聞な有り得ない話。現代では苦情が殺到してしまいます。子供向きとしてはシリアス過ぎる。打ち切りになってしまったのもしかたがない。滝川剛(タイガーセブン)は、協力者にも正体を隠しているため、「肝心なときにお前はいない」と仲間になじられる。
まさに特撮ヒーロー作品の暗黙のルール、タブーに迫る作品。主人公の正体を知らないメンバーが、戦いのときになると決まって姿を眩ます主人公に不信感を抱いたりといった、従来のヒーロードラマでは意識的に避けられていたタブーの部分を強調した物語が展開された。
『鉄人タイガーセブン』第25話「恐怖の大サーカス マリオネット原人」 / 孤独な戦いと次々と押し寄せる過酷な現実。
敵のマリオネット原人と心を通わせた少女「冬子」がタイガーセブンが避けたサーベルで死んでしまう悲劇。
隙ができたタイガーセブンに向けて刀を投げる黒仮面。それを間一髪避けるタイガーセブンだったが……
ああっ!?
なんと、黒仮面の刀は冬子に直撃してしまった!
冬子ぉぉぉ!!
思わず駆け寄るマリオネット原人とタイガーセブン。だが時すでに遅く、冬子は息絶えていた……
黒仮面がタイガーセブン目がけて投擲したサーベルがかわされた際に運悪く少女「冬子」を貫く。慕っていた少女の死で戦意を喪失したマリオネット原人をも黒仮面は処刑する。
マリオネット原人は少女と手をとりあって死ぬ。本作でも有名な鬱展開エピソード。
敵の原人と心を通わせた少女が敵の手によって刺殺されるという悲劇を目の当たりにした上に、主人公自身も自分の人工心臓が寿命を迎えて余命が数日となった事実を知って愕然となり、最終的には自ら戦いを放棄するまでになる。さらに、その代わりを果たそうとムー一族に単身立ち向かった高井戸博士までが惨殺される。
『鉄人タイガーセブン』第26話「今甦えるタイガースパーク!!」(最終回) / 最後まで救いのない後味の悪い鬱展開。
己の死を悟っている滝川 剛は皆の前から去っていく。人工心臓が止まって滝川 剛・タイガーセブンが死ぬ事が回避されないまま終わる。
滝川剛にほのかな恋心を抱くヒロインの青木ジュンに彼女の愛に応えられないことを詫びた後、一礼して皆の前から去っていくところで物語が終わる。
(ジュン、俺は君の愛にまで背を向けて去って行かなければならない。野生のゾウが自分の死に場所を探すように)
「剛さん…」
(さよなら、ジュン…)
剛は一礼すると、そのまま走り去っていった。ジュンは悲しげな眼差しで見つめ、北川は後悔の表情を浮かべていた。
それから剛はバイクに乗って走り去っていったが、人工心臓の寿命はもう二日しかない。タイガーセブン・滝川剛のその後は誰も知らない……
地球を救ったヒーローなのにまったく報われず救いがない最終回。
『鉄人タイガーセブン』第26話「今甦えるタイガースパーク!!」
「思い通り生きるんだ。しかし、逃げようとはするな!」と言う高井戸博士の遺言を受け、タイガーセブンは、人工心臓SPの停止まで二日も無い状況ながらムー一族との最後の戦いに向った。
ムー帝国を壊滅させたが、人工心臓が寿命を迎えて余命がわずか数日のダイガーセブン。あまりにもヒーローが報われない、苦悩続きの物語。最後まで救いようがない話だった。
アクマイザー3 / 衝撃的な全員死亡の最終回。トラウマになった児童も多数。続編「超神ビビューン」にアクマイザー3の魂は受け継がれる。
アクマイザー3のザビタン、イビル、ガブラは、最終回でアクマ族総師団長ゲベルと戦う。アクマ族総師団長ゲベルが本作におけるアクマイザー3の最大最強の敵となっている。大魔王ガルバーから与えられた「不滅の盾」でアクマイザー3に挑んでくる。
「不滅の盾」を持つゲベルを究極の必殺技「アクマイザーアタック」で倒すが、大魔王ガルバーの呪いによってアクマイザー3の魂はカプセルの中に閉じ込められてしまった。
謎の支配者「大魔王ガルバー」は第37、38話に声のみ登場。その存在は続編となる『超神ビビューン』で明らかになる。自身の右腕であるゲベルに不滅の盾を与え、その盾に秘められた呪いによってアクマイザー3の魂をカプセルに閉じ込めた。ザビタンたち3人は、戦いに勝ったが、大魔王ガルバーの呪いによって魂を小さなカプセルに閉じ込められてしまった。
アクマ族の陰の支配者・大魔王ガルバーによってゲベルの持つ不滅の盾に封じ込められていた呪いの力がザビタンたち3人の魂を封じ込めてしまった。再びアクマイザー3が帰ることはない。だが泣くのはよそう。ザビタン、ガブラ、イビルの魂はいつまでも、いつまでも生きているのだから…。
アクマイザー3の尽力によってアクマ族の地上侵略は阻止された。だが、大魔王ガルバーの手によってザビタン、イビル、ガブラの3人はカプセルの中に封じ込められてしまった。
続編「超神ビビューン」にて「大魔王ガルバー」の正体が判明する。
『アクマイザー3』の劇中では姿を見せず謎の存在(声だけの出演)であった「大魔王ガルバー」とは、「大魔王」(副ボス)と「ガルバー」(ラスボス)の二人のことを示していた。
副ボスの「大魔王」は妖怪軍団の総大将。真の支配者である「ガルバー」の影武者である。
『アクマイザー3』と「超神ビビューン」の真の黒幕の「ガルバー」。訳が分からないグロテスクな姿だが強い。アクマイザー3の魂を受け継いだ超神ビビューンの「超神アタック」を受けて滅びる。
グロテスクすぎるガルバー。恐ろしい超能力を持っている。
1970年代の等身大ヒーローの特撮のラスボスは、仮面ライダーシリーズをはじめ、怪奇なグロテスクな姿のラスボスが多い。子供が泣きたくなる造形ばかりだ。
懐かしい昭和の特撮作品の衝撃的なトラウマ回シリーズ
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