ミステリー調のオカルトホラー演出が特徴の昭和時代の『八つ墓村』のトラウマシーン(猟奇的殺人シーン・死体・最恐の瞬間など)と名場面・見どころのまとめ。多治見要蔵(演:山崎努)の村人32人殺しなど映画史に残る血まみれスプラッターシーンも満載。
八つ墓村(1977年) / 400年前の落ち武者の怨念で事件が起きた推理劇風のオカルト映画。血まみれスプラッターシーンも満載。最大のヒット作品。
『八つ墓村』は1977年に公開された日本映画で、監督は野村芳太郎、原作は横溝正史の同名小説。松竹が製作を決定した1975年に、陣営には脚本の橋本忍、撮影の川又昂、音楽の芥川也寸志などが起用された。2年3箇月の製作期間と7億円の制作費をかけて東宝作品などと競って封切られ、大ヒット作となる。
主役・金田一耕助の役には渥美清が配されました。推理物でありながら、祟りに見せかけた犯罪ではなく本当の祟りを描いています。終局は恐怖描写に差し替えられ、推理劇風のオカルト映画に改変された異色作です。
八つ墓村 予告篇【1977年 松竹版】
東京に住む辰弥(萩原健一)は、自分を探していた祖父が目の前で毒殺死したことを機に、故郷の八つ墓村を訪れた。そこは戦国時代の落武者惨殺の伝説に彩られた地であり、やがてそこで謎の連続殺人事件が勃発する…。
『八つ墓村』(やつはかむら)は、1977年に公開された、野村芳太郎監督の日本映画。原作は横溝正史の同名小説。主演は萩原健一、金田一役は渥美清。
寺田辰弥(萩原健一)は航空機誘導員であったが、ある日の新聞尋ね人欄から、大阪の弁護士事務所に訪れることになり、そこでは祖父である井川丑松が突然死んでしまった。
父方の親戚筋の未亡人である森美也子(演:小川真由美)の案内で、辰弥は生れ故郷の八つ墓村に向かうことになった。多治見家と八つ墓村は、戦国時代にまで遡り、1566年に8人の武将が落ち延びて村人たちに惨殺され、呪詛を吐いて死んでいったという由来がある。
辰弥の父である多治見要蔵(演:山崎努)も28年前に恐ろしい事件を起しており、美也子によって辰弥が多治見家の後継者であることが告げられた。
探偵・金田一耕助の役には渥美清を配するなど、同時期の東宝配給による石坂浩二のシリーズとは作風が大幅に異なる。事件を「祟りに見せかけた犯罪」ではなく「本当の祟り」として描き、主要登場人物を大幅に削減して人物関係を簡略化し、推理物でありながら金田一による謎解きのくだりが短縮され、終局は背景を鍾乳洞洞窟とした迫力ある恐怖描写に差し替える等、推理劇風のオカルト映画へと改変した異色作となった。
濃茶の尼(こいちゃのあま)のセリフ「祟りじゃ?っ!」が流行語に
この映画のキャッチコピーに使用された濃茶の尼(こいちゃのあま)のセリフ「祟りじゃ?っ! 八つ墓の祟りじゃ?っ!」が流行語になったことでも有名。
多治見要蔵(演:山崎努)の村人32人殺し / 多治見家に対する尼子義孝ら8人の落ち武者の呪い・怨念が原因…映画史に残るあまりにも残虐なトラウマシーンとして語り継がれている。
多治見要蔵(演:山崎努)は発狂して妻を斬殺、村人32人を日本刀と猟銃で虐殺し、失踪した。
多治見要蔵が発狂したのは、多治見家に対する尼子義孝ら8人の落ち武者の呪い・怨念が原因と考えられる。幼い子供や老婆も容赦なく殺す「多治見要蔵の村人32人殺し」は、映画史に残るあまりにも残虐なトラウマシーンとなった。
多治見要蔵(演:山崎努)の振り回す日本刀で切られる血みどろスプラッターシーン。
八つ墓村の殺戮シーン集
尼子義孝ら8人の落ち武者の惨殺シーン / 「八つ墓村」の命名の由来となる欲にくらんだ残忍すぎる残虐事件
尼子義孝ら8人の落ち武者たちが滝を登って八つ墓村が由来になる村に辿りついたシーンから映画は始まる。
戦国時代の1566年、毛利に敗れた尼子義孝という武将が、同胞と共に8人で今の八つ墓村の地に落ち延び、村外れに住みついた。
晒し首になっても目を見開いて凄い形相の尼子義孝(演:夏八木勲)
しかし落ち武者たちは、毛利からの褒賞に目の眩んだ村人たちの欺し討ちに合って惨殺される。落ち武者たちは「この恨みは末代まで祟ってやる」と呪詛を吐きながら死んでいった。後ろから刀で斬られ、手の甲を草刈り鎌で貫かれる尼子義孝役の夏八木勲。痛々しい残酷描写が満載。
特に大将の尼子義孝(演:夏八木勲)の抵抗は凄まじく、二本の竹槍を体に刺されながらも、喉を貫いた竹槍を自らで引き抜き、「おのれ…卑怯な。騙し討ちを…祟って…祟ってやる…」と呪詛を吐きながら死んでいった。
【八つ墓村】村人による尼子落人惨殺
落武者の祟りにより、落ち武者殺しの首謀者である多治見庄左衛門は自分の首を斬り飛ばすという壮絶な最期を迎える
この落ち武者殺しの首謀者である村総代の多治見庄左衛門は褒賞として莫大な山林の権利を与えられ、多治見家の財の基礎を築いた。だが、庄左衛門はあるとき突如として発狂、村人7人を斬殺した後、自分の首を斬り飛ばすという壮絶な死に方をする。村人は、このことにより落武者の祟りを恐れ、尼子義孝ら8人の屍骸を改めて丁重に葬り祠をたてたことから、村は「八つ墓村」と呼ばれるようになったというものだった。
落武者の祟りにより、落ち武者殺しの首謀者である多治見庄左衛門は自分の首を斬り飛ばすという壮絶な死に方をする。
森美也子(演:小川真由美)は、般若面の形相になって寺田辰弥(演:萩原健一)を追い回して殺そうとする / オカルトホラー映画のような恐怖演出
辰也と美也子は遂に“竜のあぎと”に辿り着いた。かつて母が辰也の本当の父親と愛し合ったこの場所で辰也も亡き母に呼び寄せられて美也子と肌を重ねた。
犯人であることを寺田辰弥(演:萩原健一)に知られた森美也子(演:小川真由美)は、般若面の形相になって辰弥を追い回して殺そうとするが、辰弥の悲鳴で落盤が起き、埋もれて死ぬ。
オカルトホラー映画のような恐怖演出の般若面の形相の怖すぎる森美也子(演:小川真由美)は、トラウマキャラとして語り草になっている。
落ち武者の怨念、怨恨の炎が多治見家を燃やし尽くす…。400年前の落ち武者の怨念・祟りが原因で事件が起きたという結末。
多治見家は、落ち武者たちの怨恨の炎で燃えていく。
落ち武者たちは、その光景を見下ろして見ている。400年にわたる怨恨…。多治見家は崩壊し、とうとう復讐は成就した。満足した笑みを浮かべる尼子義孝(演:夏八木勲)
落ち武者達を殺した多治見家の豪邸が、崩壊し炎上していく炎を見下ろしながら、落ち武者達の亡霊が、高笑いしながら終焉を告げる。