日本映画史に残る恐怖のトラウマ映画(陰惨な鬱映画)を振り返ってみましょう。『樺太1945年夏 氷雪の門』『この子の七つのお祝いに』『震える舌』『八甲田山』「犬神家の一族」『悪魔の手毬唄』『八つ墓村』『ひめゆりの塔』『鬼畜』ほか21作品。

『樺太1945年夏 氷雪の門』 / 長きに渡り封印され続けてきた幻の名作。真岡郵便電信局の女性電話交換手9人の最期を描いた戦争映画。

『樺太1945年夏 氷雪の門』 / 長きに渡り封印され続けてきた幻の名作。真岡郵便電信局の女性電話交換手9人の最期を描いた戦争映画。『樺太1945年夏 氷雪の門』は、1974年公開の日本映画。株式会社JMPが製作。第二次世界大戦末の樺太を舞台に、ソ連の進攻作戦の真只中で最後まで通信連絡をとりつづけ、若い生命を投げうった、真岡郵便局電話交換手の九人の乙女を通して、戦争への怒りを描く。

1974年に製作されたものの、ソ連の圧力でお蔵入りになっていた衝撃の物語に驚嘆する。実話をもとに空前のスケールで製作されながら、長きに渡り封印され続けてきた幻の名作。

1945年(昭和20年)8月15日の玉音放送後も継続された、ソ連軍の樺太(現サハリン)侵攻がもたらした、真岡郵便電信局の女性電話交換手9人の最期(真岡郵便電信局事件)を描いている。ソ連軍の樺太侵攻をテーマにした唯一の日本映画である本作は、語り継ぐべき悲劇の歴史を後世に伝える、貴重な作品。

映画『樺太1945年夏 氷雪の門』予告編
金子俊男原作の「樺太一九四五年夏・樺太終戦記録」を『あヽ海軍』の村山三男監督が映画化した戦争映画。終戦にもかかわらず、樺太に攻めて来たソ連軍の脅威にさらされながらも、最後まで通信連絡を行った電話交換手9人の悲しい最期を描く。その女性たちを演じるのは、『兄帰る』の二木てるみや『幼獣マメシバ』の藤田弓子ら。1974年に製作されたものの、ソ連の圧力でお蔵入りになっていた衝撃の物語に驚嘆する。

昭和20年8月20日、樺太で失われた9人の乙女たちの命。

最後まで残っていた交換手の女性9名は青酸カリを飲んで死を選んだ。1945年8月15日に日本はポツダム宣言を受諾して無条件降伏している。降伏し全く敵対する意思のない日本軍を蹂躙する(もはや戦争ではなく一方的な虐殺を続ける)ようなソ連軍を信用し降伏することなど考えられなかったのだろう。電話交換手の9人の女性が集団自決を決意する。

『この子の七つのお祝いに』 / お化けや幽霊の出てこない怖い映画・トラウマ映画として名高い。

『この子の七つのお祝いに』 / お化けや幽霊の出てこない怖い映画・トラウマ映画として名高い。『この子の七つのお祝いに』は、1982年10月9日公開の日本映画。原作は斎藤澪。第一回横溝正史ミステリ大賞を受賞した同名小説の映画化作品。

『この子の七つのお祝いに』 あの頃映画松竹DVDコレクション

次期総理の座を狙う大蔵大臣磯部の私設秘書・秦一毅の元お手伝い・池畑良子が殺された。ルポライター、母田耕一(演:杉浦直樹)は政界の謎をあばこうと秦の身辺をさぐっていた矢先の事件で秦の内妻、青蛾(せいが)が奇妙な手型占いをするという噂をきく。しかもその的中率に大物政治家、財界人等が続々と詰めかけており、秦自身もそのお陰で現在の地位を築いたというのだ。母田は青蛾の影を追い始める。

そんなある日、後輩の事件記者の須藤洋史(演:根津甚八)に、ゆき子(演:岩下志麻)という変り者の美人ママがいるというバーに連れて行かれる。母田は彼女に強くひかれ、彼のマンションで密会するようになった。だが母田は何者かによって殺害され、須藤は危険を承知で母田の仕事を引き継ぎ、彼の残した足跡を探る。

岸田今日子が演じる真弓は、映画史に残る狂気に満ちたトラウマキャラ。映画史に残る「コワイ女」(壊れた女)。

真弓を演じた岸田今日子の演技が多くの観客に衝撃を与えた。「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる…」と呪詛の言葉を唱えるおびただしい数の縫い針を大根に突き刺しながら「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる…」と呪詛の言葉を唱え続ける狂気に満ちた真弓。映画史に残る猟奇的なトラウマシーン。

真弓(演:岸田今日子)は、岩下志麻が演じる麻矢の母(実は本当の母親ではない)。自身と幼い麻矢を捨てた夫に激しい憎悪の念を抱く。毎晩麻矢に夫への憎しみを語り、大人になったら探しだして復讐するように言い聞かせる。暗く陰気な性格の女。真弓は、娘の目の前で、針を取り出し、父親の顔の部分に突き刺す。真弓(演:岸田今日子)は、娘の目の前で、針を取り出し、父親の顔の部分に突き刺す。

昭和25年頃、東京都大森の古い木造アパートで真弓と娘の麻矢が2人きりで住んでいた。真弓は麻矢に「お父さんは私達を捨てた悪い人。恨みなさい、憎みなさい。大きくなったら必ず仕返しをしなさい。絶対に許しては駄目。」と毎日毎晩教え込み、虐待していた。そして麻矢が7歳の正月、真弓は彼女に晴れ着を着させた後、手首と頚動脈を切って自殺した。病弱で晩年はほぼ床に伏した生活を送り、麻矢が7つになった正月に手首と頚動脈を切って自殺する。真弓(演:岸田今日子)は、病弱で晩年はほぼ床に伏した生活を送り、「私が死んだらあの男に復讐しておくれ…」と言い残し麻矢が7つになった正月に自殺する。このようにして岩下志麻が演じる麻矢を復讐鬼に仕立て上げた。

どんでん返し…復讐の道具に仕立てられた悲劇のヒロイン(哀しき悪役)。後味が悪すぎる結末。

狂人と化した真弓は、高橋佳哉と生き別れの妻・みやこの間に生を受けた娘・きえを盗み出して、復讐の道具に仕立て上げた。その娘こそが「麻矢」として育った、ゆき子(演:岩下志麻)であった。

須藤洋史(演:根津甚八)「キミは人間じゃない。人形だ…」

ゆき子(演:岩下志麻)は、真弓(演:岸田今日子)の復讐に利用された操り人形に過ぎなかった。

驚愕の真実を知り精神崩壊した倉田ゆき子(演:岩下志麻)「お母さん、そうなの。本当のこと教えて。お母さん寒いよ。寒くて暗いよ。お母さん、助けて…」

真弓に人生を狂わされた…発狂し「通りゃんせ」を歌い続けるゆき子(演:岩下志麻)。真弓に人生を狂わされた…発狂し「通りゃんせ」を歌い続けるゆき子(演:岩下志麻)。

「とおりやんせ、とおりゃせんせー。こーこはどーこのほそみちジャア。天神さまのほそみちジャア。ちぃーっととおして下しゃんせ。御用のないもの、とおしゃねぬぅ。この子の七つのお祝いにぃー♪」

高橋に、真弓の本当の娘でない事を教えられた倉田ゆき子はあまりの残酷さに発狂寸前だった。

『震える舌』 / 破傷風に侵された少女と、それを看病する両親の闘病記。アラフォー世代のトラウマ映画として語り継がれている。

映画『震える舌』 あの頃映画松竹DVDコレクション / 野村芳太郎監督 破傷風に侵された少女と、それを看病する両親の闘病記を、ホラー映画のように纏め上げた異色作。

本作の最大の見せ場は、当時、5歳だった子役・若命真裕子の圧倒的な演技力。その迫真の演技は、今でも映画ファンの語り草となっている。

破傷風に侵されてしまう少女・昌子を演じる若命真裕子(わかもり まゆこ)の迫真の演技が、話題となった。 「ヒイイイイイギアアアアアア!」と恐ろしい金切り声で叫び狂う彼女の声は思わず耳を塞ぎたくなるほど。破傷風に侵されてしまう少女・昌子を演じる若命真裕子(わかもり まゆこ)の迫真の演技が、話題となった。

「ヒイイイイイギアアアアアア!」と恐ろしい金切り声で叫び狂う彼女の声は思わず耳を塞ぎたくなるほど。

破傷風特有の症状である激烈な筋肉発作により、弓のように体を反らす姿は、『エクソシスト』並みの恐ろしさ。

昌子の担当女医の能勢は、テキパキと合理的な処置を下すが、近代医学は破傷風を打ち破ることが出来るのか…。昌子はうめき声をあげ、体を弓なりに反らせる。これ以上反ったら、背骨が折れてしまう…。昌子の心臓が止まってしまう…能勢たちの蘇生によりなんとかその後反応が出て昌子の心臓は再び動きだす。

『八甲田山』 / 210名中199名が死亡した事件「八甲田雪中行軍遭難事件」を題材にした映画。日本映画史上類を見ない過酷なロケとして伝説となった。

『八甲田山』 / 210名中199名が死亡した事件「八甲田雪中行軍遭難事件」を題材にした映画。日本映画史上類を見ない過酷なロケとして伝説となった。『八甲田山』は、新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」を原作とする日本映画。橋本プロダクション・東宝映画・シナノ企画の製作で1977年に公開された。

1902年(明治35年)に青森の連隊が雪中行軍の演習中に遭難し、210名中199名が死亡した事件(八甲田雪中行軍遭難事件)を題材に、極限状態での組織と人間のあり方を問いかけた作品。死を賭けて行軍する男たちの姿。

天候が回復しなかったことに失望して、神田大尉(演:北大路欣也)は、「天は…天は我々を見放した…! こうなったら露営地(昨日露営した鳴沢)に引き返し、先に死んでいった者と一緒に全員が死のうではないか!!」と絶望の叫びを上げた。

高倉健、北大路欣也主演。劇中で北大路欣也演じる神田大尉が呟く「天は我々を見放した…」は当時の流行語になった。

「八甲田山」予告編

明治34年末、日露戦争を目前にして陸軍は寒冷地教育の不足を痛感していた。ロシア軍と戦うためには雪中行軍をして、雪とは何か、寒さとは何かを知らねばならなかった。その行軍の目標となったのが生きては帰れぬ冬の八甲田であった……。裸で凍死する兵卒(演: 原田君事)は、行李輸送隊(ソリ隊)としてソリを牽引し、ソリ放棄後は炊事兼暖房用木炭を背負っていた。途中猛吹雪の中、幻覚により発狂し、矛盾脱衣してそのまま凍死した。裸で凍死する兵卒(演: 原田君事)は、行李輸送隊(ソリ隊)としてソリを牽引し、ソリ放棄後は炊事兼暖房用木炭を背負っていた。途中猛吹雪の中、幻覚により発狂し、矛盾脱衣してそのまま凍死した。雪中で気が狂って突如ふんどし姿になって倒れるという伝説のトラウマシーン。

矛盾脱衣または逆説的脱衣とは、凍死者が裸の状態で発見されること、または寒い環境の中で脱衣してしまう異常行動のこと。遭難の責任を取って舌を噛んで自決した青森歩兵第5連隊の神田大尉(演:北大路欣也)遭難の責任を取って舌を噛んで自決した青森歩兵第5連隊の神田大尉(演:北大路欣也)

神田大尉(演:北大路欣也)は、指揮権を奪われたとはいえ行軍の指揮官であったことから、遭難の責任を取るため、賽の河原で江藤伍長を田茂木野へ行かせた直後、舌を噛み切り自決。

最後の場面で、田茂木野の遺体安置所にて、青森歩兵第5連隊の神田大尉(演:北大路欣也)の棺に納められた亡骸を、弘前歩兵第31連隊の徳島大尉(演:高倉健)が検視・見届ける。最後の場面で、田茂木野の遺体安置所にて、青森歩兵第5連隊の神田大尉(演:北大路欣也)の棺に納められた亡骸を、弘前歩兵第31連隊の徳島大尉(演:高倉健)が検視・見届ける。

悲しみと衝撃を受ける徳島大尉だったが、無事に八甲田山を突破、雪中行軍を成功させる。

徳島大尉(演:高倉健)は、1月29日午前2時に田茂木野に到着する直前、道案内人たちにその労をねぎらい、手当を渡してから「八甲田で見たことは今後一切喋ってはならない」と忠告するのであった。

市川崑監督・石坂浩二主演による金田一耕助シリーズの第1作「犬神家の一族」 おどろおどろしい陰惨な世界観を持つ伝説のトラウマ怪奇映画。

犬神家の一族(1976)

不気味な白マスク姿の「犬神佐清(すけきよ)」は、あまりにも有名なトラウマキャラ…松子「佐清(すけきよ)、頭巾を取っておやり!」「佐清(すけきよ)、この薄情の人たちに仮面をめくっておやり!」のくだりで視聴者は2回驚かされる!グロテスクすぎる素顔に度肝を抜かれた…映画史に残る恐怖のトラウマシーン。

松子「佐清(すけきよ)、頭巾を取っておやり!」犬神佐兵衛の顧問弁護士の古舘恭三は、黒い頭巾をかぶっており素顔を見れない犬神佐清(すけきよ)が本人であることを確認しなくても良いのかと聞くと、竹子も梅子も佐清(すけきよ)の顔を見なければ納得しないと言い出す。

松子(高峰三枝子)「佐清(すけきよ)、頭巾を取っておやり!
頭から黒い頭巾をかぶった異様な男である犬神佐清が黒い頭巾を取ると…なんと不気味な白いマスクで覆われた頭部が現れた。「きゃあ!」と竹子の娘の小夜子が悲鳴をあげる。一同は騒然とする。

一度見たら頭に焼き付いてしまい一生忘れないほどの、あまりにも強烈な伝説のトラウマキャラクターの誕生。不気味な白マスク姿の「犬神佐清(すけきよ)」は、一度見たら忘れられないトラウマキャラ。特に石坂浩二の金田一耕助シリーズ(角川映画)『犬神家の一族』(1976年)は、おどろおどろしい陰惨な世界観を持つ伝説の「トラウマ怪奇映画」として名高い。白マスク姿の「犬神佐清(すけきよ)」を見て、驚きの表情を見せる野々宮珠世(島田陽子)。犬神佐兵衛の遺言が犬神家の全財産は、野々宮珠世が犬神佐清、犬神佐武、犬神佐智の中から配偶者を選べば彼女に譲られるとしていたことから、血で血を洗う莫大な遺産をめぐる争いのまっただ中に身を置くことになってしまった。

不気味なマスク姿の佐清(すけきよ)…松子「スケキヨさん、(素顔)見せておやりなさい!」犬神佐清は徴兵されてビルマでの戦いに参戦したが、そのときに顔に酷い火傷を負ったために、白いゴムマスクをつけている。頭部全体を隠す無表情で不気味なマスクが使用され有名になった。

「佐清(すけきよ)」は戦争で顔を負傷しマスクをかぶっているため本人かどうか疑わしいと家族が言い出し争いになる。不気味な白マスク姿の佐清(すけきよ)はあまりにも有名なトラウマキャラ。

松子「佐清(すけきよ)、この薄情の人たちに仮面をめくっておやり!」…早くも本作品の「最恐の瞬間」が訪れる。
松子「スケキヨさん、(素顔)見せておやりなさい!」 / グロテスクすぎる素顔に度肝を抜かれた黒頭巾をかぶった異様な姿→不気味な白マスク姿→あまりにもグロテスクすぎる「佐清(すけきよ)」の素顔に視聴者は度肝を抜かれた。みんなのトラウマ。

ビルマ戦線で「どえらい傷」を負ったマスク姿の「佐清(すけきよ)」(正体は、青沼静馬)の素顔は原作では顎の辺りは無傷で鼻の代わりに赤黒い肉塊があるとされているが、本作では右側の顎の下にまで焼け爛れた傷があり、鼻も完全になくなっている。

1976年公開の角川映画第1作『犬神家の一族』のテーマ曲「愛のバラード」は、この時代特有の感傷深い思いを感じる哀愁漂う旋律によって、鮮烈なオープニング映像の気品を、映画全体の格調を、ひいては物語の核心である哀しき愛の形を、的確に表現していた。この曲を聴くだけで、あっという間にトラウマ怪奇映画「犬神家一族」の世界観に浸れる怪しげで儚げなメロディが素晴らしい。物語の冒頭で流れた時は怖さを引き立てられ、ラストに流れた時には物語の悲哀さを引き立てる‥‥「犬神家の一族」に恐ろしいほどマッチした傑作。

市川崑監督・石坂浩二主演の金田一耕助シリーズの第2作「悪魔の手毬唄」 / 映画史に残るミステリー映画の金字塔。ミステリー映画としてもホラー映画としても最高峰の傑作映画として名高い。

悪魔の手毬唄 予告篇

恨みが積って二十年。青い沼に悪魔の数え唄が流れて、美しい死体がまたひとつ・・・名探偵金田一耕助が、岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村で起こった奇妙な殺人事件に巻き込まれていく…。

『悪魔の手毬唄』(あくまのてまりうた)は、1977年(昭和52年)4月2日に公開された日本映画。横溝正史作の同名長編推理小説の映画化作品。

仁礼文子の見立て殺人。手毬唄の「秤屋の娘」になぞらえて殺害されている。本物の幽霊のような文子の死に様は、ミステリー映画史に残る恐怖のトラウマシーンとして名高い。最恐の瞬間。

仁礼文子が、仁礼家のぶどう酒工場で発見される。葡萄酒の樽に漬けられるという猟奇的なシーン。本物の幽霊のような恐ろしさ。1977年版『悪魔の手毬唄』の本物の幽霊のような文子の死に様はミステリー映画史に残る伝説のトラウマシーン。昨夜、通夜の席から忽然と姿を消した仁礼文子が、仁礼家のぶどう酒工場で発見される。葡萄酒の樽に漬けられるという猟奇的なシーン。本物の幽霊のような恐ろしさ。1977年版『悪魔の手毬唄』の本物の幽霊のような文子の死に様はミステリー映画史に残る伝説のトラウマシーン。辰蔵は仁礼文子の死体にまだ気づいていない…。辰蔵は仁礼文子の死体にまだ気づいていない…。辰蔵は何気なく後ろを振り返ると…「ああああああ…」と絶叫し気絶してぶっ倒れた。確かに気を失うレベルの恐怖。辰蔵は何気なく後ろを振り返ると…「ああああああ…」と絶叫し気絶した。仁礼文子の遺体を発見した辰蔵の叫び顔もなかなか怖い。気を失うレベルの絶叫シーンなので迫力がある。本物の死体を見たような真に迫っている。絶叫顔は、ホラー映画の醍醐味。ミステリー映画のレベルをはるかに超えた演技・演出。

文子の死体は醸造用の樽の中に漬けられ、上に大判小判が吊るされていた。文子の死体は醸造用の樽の中に漬けられ、上に大判小判が吊るされていた。

手毬唄の「秤屋の娘」になぞらえて殺害されている。

うちの裏の前栽に雀が三羽とまって
二番目の雀が言う事にゃ言う事にゃ
おらが在所の陣屋の殿様 狩好き酒好き女好き
わけても好きなが女でござる
女だれが良い秤屋の娘 秤屋器量よし爪長娘
大判小判を秤に掛けて
日なし勘定に夜も更けて夜も更けて
寝る間も無いとて返された

1977年版松竹映画『八つ墓村』 / 山崎努さん演じる田治見要蔵が、村人を殺しまくるシーンなどトラウマシーンの宝庫。

八つ墓村 予告篇【1977年 松竹版】

東京に住む辰弥(萩原健一)は、自分を探していた祖父が目の前で毒殺死したことを機に、故郷の八つ墓村を訪れた。そこは戦国時代の落武者惨殺の伝説に彩られた地であり、やがてそこで謎の連続殺人事件が勃発する…。

濃茶の尼(こいちゃのあま)のセリフ「祟りじゃ?っ!」が流行語に

濃茶の尼(こいちゃのあま)のセリフ「祟りじゃ?っ! 八つ墓の祟りじゃ?っ!」この映画のキャッチコピーに使用された濃茶の尼(こいちゃのあま)のセリフ「祟りじゃ?っ! 八つ墓の祟りじゃ?っ!」が流行語になったことでも有名。

多治見要蔵(演:山崎努)の村人32人殺し / 多治見家に対する尼子義孝ら8人の落ち武者の呪い・怨念が原因…映画史に残るあまりにも残虐なトラウマシーンとして語り継がれている。

多治見要蔵(演:山崎努)は発狂して妻を斬殺、村人32人を日本刀と猟銃で虐殺し、失踪した。多治見要蔵(演:山崎努)は発狂して妻を斬殺、村人32人を日本刀と猟銃で虐殺し、失踪した。

多治見要蔵が発狂したのは、多治見家に対する尼子義孝ら8人の落ち武者の呪い・怨念が原因と考えられる。幼い子供や老婆も容赦なく殺す「多治見要蔵の村人32人殺し」は、映画史に残るあまりにも残虐なトラウマシーンとなった。

八つ墓村の殺戮シーン集

尼子義孝ら8人の落ち武者の惨殺シーン / 「八つ墓村」の命名の由来となる欲にくらんだ残忍すぎる残虐事件

晒し首になっても目を見開いて凄い形相の尼子義孝(演:夏八木勲)

戦国時代の1566年、毛利に敗れた尼子義孝という武将が、同胞と共に8人で今の八つ墓村の地に落ち延び、村外れに住みついた。しかし落ち武者たちは、毛利からの褒賞に目の眩んだ村人たちの欺し討ちに合って惨殺される。落ち武者たちは「この恨みは末代まで祟ってやる」と呪詛を吐きながら死んでいった。

尼子義孝(演:夏八木勲)は、喉を貫いた竹槍を自らで引き抜き、「おのれ…卑怯な。騙し討ちを…祟って…祟ってやる…」と呪詛を吐きながら死んでいった。特に大将の尼子義孝(演:夏八木勲)の抵抗は凄まじく、二本の竹槍を体に刺されながらも、喉を貫いた竹槍を自らで引き抜き、「おのれ…卑怯な。騙し討ちを…祟って…祟ってやる…」と呪詛を吐きながら死んでいった。

『ひめゆりの塔』(1953年) / 「ひめゆり部隊」の十二週間にわたる悲惨な戦い…若い命を散らせてゆく少女達の悲惨な姿を、セミ・ドキュメンタリー・タッチで克明に演出。

『ひめゆりの塔』は、1953年(昭和28年)1月9日公開の日本の戦争映画である。東映製作・配給。監督は今井正。モノクロ、スタンダード、130分。太平洋戦争時の沖縄を舞台に、戦争に翻弄される女学生の姿を描いた映画。当初、大映で撮る予定だったがGHQの圧力でストップがかかり、2年後、ようやく東映で実現し空前のヒットを記録。

沖縄戦で看護婦として前線に立ったひめゆり学徒隊の悲劇を描いた戦争映画。作品は大ヒットを記録し、倒産の危機にあった東映を救った。

太平洋戦争末期、米軍の総攻撃を受けた沖縄島の南端に散ったひめゆり学徒200余名。美しき地上より消えた乙女たちが死の瞬間に呼び合えし父母の名! 乙女たちの清純な心と悲惨な最期を、映画の詩人・今井正監督が心血を注いで描いた気高くも尊い、永遠の平和を世界に訴えた忘れえぬ名作である。

極限状態の中、純真な心で自らの命も省みず奉仕してきた女学生達を待っていたのは、背後から襲いかかる雨のような銃弾と、そして自らの身を守るために、醜さをさらけだす大人達であった。逃げまどい敵弾に斃る者、行き場を失い手榴弾で自ら爆死する者、降伏しようとして軍人に射殺される者、倒れてゆく少女達の瞳には、何が写ったのであろうか。

映画『ひろしま』1953年公開 / 原爆投下直後の広島を再現。現代戦争の真の恐ろしさを思い出させてくれる。

映画『ひろしま』1953年公開 / 原爆投下直後の広島を再現。現代戦争の真の恐ろしさを思い出させてくれる。『ひろしま』は、日教組プロ製作、関川秀雄監督による1953年(昭和28年)公開の広島原爆を扱った戦争映画。1955年(昭和30年)に第5回ベルリン国際映画祭長編映画賞を受賞した。2019年8月17日(土曜)0:00 – 1:47(8月16日〈金曜〉深夜)に、NHKEテレで全国放送された。

長田新の『原爆の子』を八木保太郎が脚色し関川秀雄が監督した反戦映画。原爆投下直後、地獄絵図のような広島を再現、あまりのリアルさに「反米的」と見られるのを恐れ、大手映画会社が配給を拒んだという。東宝争議で自主退社を余儀なくされた関川らによって作られた力作。
広島で被爆した子供たちの文集『原爆の子』を基に日教組が製作、全国の教員たちのカンパで資金を集め、広島の一般市民8万8千人がエキストラで協力、まさに映画という形の市民運動。広島出身の月丘もノー・ギャラで教師役を熱演。

広島にある高校。北川が受け持つ三年生のクラスで、生徒の大庭みち子が鼻血を出して倒れた。それは原爆による白血病が原因だった。このクラスでは、実に三分の一の生徒が被爆者だったのだ。あの日、ゆき子の姉は疎開作業中に被爆し、川の中で絶命した。遠藤幸夫の父親は、建物の下敷きになり炎に包まれた妻を助けることができなかった。原爆投下から七十五年は草木が生えないといわれた広島に大根の芽が出たとき、人々はその芽に希望を見いだしていた。

復讐するは我にあり

映画『復讐するは我にあり』は、松竹と今村プロダクションの共同製作、配給は松竹。1979年4月21日に公開された。映画『復讐するは我にあり』は、松竹と今村プロダクションの共同製作、配給は松竹。1979年4月21日に公開された。全国で詐欺、窃盗を重ねた上に5人を殺害し、その犯行歴から“黒い金メダリスト”と揶揄された昭和の大悪人・西口彰をモデルに描く実録映画。

九州、浜松、東京で五人を殺し、詐欺と女性関係を繰り返した主人公の榎津巌(えのきづ いわお)生いたちから死刑執行までを辿る。九州、浜松、東京で五人を殺し、詐欺と女性関係を繰り返した主人公の榎津巌(えのきづ いわお)生いたちから死刑執行までを辿る。

復讐するは我にあり(予告)

5人を殺害し全国を逃走した男の、犯罪を積み重ねた生い立ち、数々の女性遍歴と父との相克を描く。

日豊本線築橋駅近くで専売公社のタバコ集金に回っていた柴田種次郎、馬場大八の惨殺死体が発見され、現金41万円余が奪われていた。やがて、かつてタバコ配給に従事した運転手・榎津厳が容疑者として浮かんだ。

ふたりの男を殺して逃亡する榎津巌(緒形拳)は投身自殺を偽装して警察の目を欺き、以後も次々と殺人を繰り返していく。やがて彼は浜松に住むハル(小川真由美)の情夫となるが・・・。

『鬼畜』 / 無責任な父親の宗吉と、冷酷な嫁のお梅が共謀して児童を遺棄する姿を描いたトラウマ映画。

『鬼畜』は、松本清張の短編小説。1978年に松竹で映画化された。2002年に日本テレビ系で、2017年にテレビ朝日系でテレビドラマ化された。気の弱い男がある日、3人の隠し子を押し付けられ、動転して親とは思えない行動に出てしまうさまを描いたサスペンス・タッチの人間ドラマ。

小さな印刷屋の主人・宗吉(緒形拳)が、愛人・菊代(小川真由美)に生ませた3人の子を引き取るハメになる。強気の女房・お梅(岩下志麻)の冷たい仕打ちで庄二が病死、追いつめられた気弱な宗吉は、良子を置き去りにし、利一を崖下に突き落とす…。

はなから「他人様の子供」など育てる気の無いお梅(演:岩下志麻)は、子供たちに鬼のようにつらく当たる。まさに虐待そのものだった。庄二(菊代の次男)は、口にご飯を詰め込まれた…。

岩下志麻が怪演を見せたことでも有名な映画『鬼畜』。岩下志麻と緒形拳の演技によってトラウマ映画として「胸くそが悪い」「映画としては最高だけれども後味が最悪」と語り継がれる。

鬼畜(予告篇)

舞台は埼玉県・川越市。印刷屋を営む宗吉(緒形拳)は、妻・お梅(岩下志麻)に隠れ、料理屋の女中・菊代(小川真由美)を妾として囲い、7年の間に3人の子供を産ませていた。しかし宗吉の印刷屋は火事で設備の大半を失い、再建しようにも得意先の大半を大手の印刷会社に奪われ、融資の都合もつかず火の車。菊代に月々の生活費も渡せなくなっていた。生活に窮し業を煮やした菊代は3人の子を連れ、印刷屋に乗り込んできた…。

後味が悪いラスト

利一「父ちゃんじゃない!知らないおじさんだよ!」利一は涙をこらえながら「父ちゃんじゃない!知らないおじさんだよ!」と否定する。利一の足にすがりつき泣いて詫びる宗吉…。利一の足にすがりつき泣いて詫びる宗吉…。

刑事に付き添われ、宗吉は北陸の警察を訪れる。自身を崖から突き落とした父を目のあたりにして、利一は涙を堪えながら「知らないおじさんだよ!」と否定する。そんな利一にすがりつき、宗吉は後悔と罪悪感で号泣するのだった。

映画のラストで、利一が宗吉を「父ちゃんなんかじゃないやい!」と否定するシーンは、観客によって解釈が分かれることが多い。「父親をかばった」とする意見と、「父親を拒絶した」という意見である。脚本の井手雅人の意図は明確である。幼少時に尺八奏者である父・菊次が芸妓と出奔、伯父夫婦に引き取られた経験がある井手は、利一に過去の自分を重ねて、自分を捨てた父親への恨みと拒絶を表したものとしてこの台詞を書いたのだった。ところがそれではあまりに救いがないと判断した野村は、利一が父親をかばっているのだと解釈する刑事たちの台詞を加えて、どちらとも取れる演出を施した。

黒澤明監督『夢』 / 人間の愚かさに対する恐怖が表出した「赤冨士」「鬼哭」はトラウマ必至。

『夢』は、1990年に公開された日米合作映画。黒澤監督自身が見た夢を元にした、「日照り雨」「桃畑」「雪あらし」「トンネル」「鴉」「赤冨士」「鬼哭」「水車のある村」の8話のオムニバス形式の作品。

黒澤監督自身の少年から青年期を彷彿させる「日照り雨」「桃畑」「雪あらし」。戦死者への哀悼の想いを込めた「トンネル」。画家を夢見た彼ならではの「鴉」。そして放射能に色をつけるという斬新なアイデアもさながら、現代の核問題危機を恐ろしいまでに先取りした「赤冨士」と、その後人類が鬼と化す「鬼哭」。

「日照り雨」 出演:倍賞 美津子 / 「狐の嫁入り」が描かれている。

江戸時代を思わせる屋敷の門前で、幼い私は突然の日照り雨にあう。畑仕事帰りの母から冗談交じりに「外へ出ていってはいけない。こんな日には狐の嫁入りがある。見たりすると怖いことになる」と言われるが、誘われるように林へ行くと道の向こうから花嫁行列がやってくる。ある日、五歳位の“私”は母に見てはいけないと言われていた狐の嫁入りを見てしまう。家に帰ると母が恐い顔をして立っていた。狐が来て怒っていた、腹を切って謝れと言ってたという。一生懸命、死ぬ気になって謝って来なさいと母は言った。“私”は白鞘の短刀を持って、虹の下の狐の家に行くのだった。

「雪あらし」 出演:原田美枝子/ 私(第3話 – 第8話):寺尾聰

大学生の私は、吹雪の雪山で遭難しかけていた。3人の山仲間と共に3日間歩き続けたあげく、疲労困憊して崩れ込んだまま幻覚に襲われる。朦朧とした意識の中、美しい雪女が現れ、誘うように問いかけてくる。「雪は暖かい、氷は熱い」と囁かれ、薄衣を被せるように深い眠りへと沈められそうになるが、危ういところで正気に返り、仲間たちと山荘を目指し歩き始める。

「トンネル」

“私”は陸軍中隊長で、ひとりだけ戦争から生還してきた。トンネルの入口に手榴弾を背負った犬がいる。犬は“私”に向かって怒り吠えていた。長いトンネルを抜けたとき、そのトンネルの中から戦死したはずの野口一等兵が現われる。野口は自分の死が納得出来ず、この世をさ迷っていたのだ。さらに続いて全滅したはずの第三小隊の隊列までも“私”の前に現われた。“私”は戦争のもたらした悲劇の苦しみを味わいながらも、彼らに静かに眠ってくれと哀願する。そして、第三小隊は、出てきたトンネルの中へ、隊列を整えて消えてゆくのだった。

「赤富士」 出演:井川 比佐志 / 現代の核問題危機を恐ろしいまでに先取りした

原子力発電所の6基の原子炉が爆発したという。遂に原発が爆発した。富士山が真っ赤に溶けていく。逃げまどう群衆。大地が、波が震動し荒れ狂う。“私”はただ絶望的に赤い霧の中で抵抗した。そこへ一人の男が現われる。男は原発の奴らは許せないと言い、海に身を投げようとするが、その男こそ原発に関わる男だった。

「鬼哭」 出演:いかりや長介 / 人類が鬼と化す

“私”の前に鬼が現れる。鬼は”私”を不思議なものを見せてくれるという。そこで”私”が目にしたのは、巨大化し人間より大きくなったタンポポ、地の池、その周りで飢餓に苦しむ鬼たち、という地獄絵図であった—。しかも実はその鬼は元人間であり、悪事を重ねた人間のなれの果てだと言う。放射能によって突然変異を起こした植物、食糧危機、そしてそこで苦しむ人間たちをとおして、強欲のために世界を破壊し続ける人間に警鐘を鳴らす。『赤富士』と並んで黒澤の人間の愚かさに対する恐怖が表出した一作。

『オーディション』 / 山崎麻美の凶行を描いた残酷なサイコホラー・スプラッター。

『オーディション』(2000年)に登場するメインヒロイン(ヒドイン)の山崎麻美(演:椎名英姫)の残酷なスプラッター(拷問)描写は世界のホラーファンを驚愕させた。『オーディション』(2000年)に登場するメインヒロイン(ヒドイン)の山崎麻美(演:椎名英姫)の残酷なスプラッター(拷問)描写は世界のホラーファンを驚愕させた。

『オーディション』(英題:Audition)は、1999年公開の日本映画。日本での公開は2000年。映画のオーディションにやってきた女性の中から再婚相手を探そうとする中年男性が体験する恐怖を描いたサイコホラー映画。前半はラブストーリー、後半はスプラッタという急転直下の展開が高評価のカルト・ホラー。舌に注射針を指す、ワイヤー鋸で足を切断するなど「痛い」シーン満載。悲哀に満ちた過去のトラウマを背負っている美女・山崎麻美の凶行を描いた残酷なサイコホラー・スプラッター。「ソウ」シリーズや「ホステル」シリーズなどの拷問ポルノの始祖的な存在でもある。

舌に注射針を指す有名な痛いシーン。舌に注射針を指す有名な痛いシーン。

ワイヤー鋸で足を切断する「痛い」シーンは、世界を震撼させた。ワイヤー鋸で足を切断する「痛い」シーンは、世界を震撼させた。

ホステルやソウのような拷問系ホラーブームの先駆けとなっているスプラッター作品。ホステルやソウのような拷問系ホラーブームの先駆けとなっているスプラッター作品。


映画『オーディション』 予告編

ビデオ制作会社を経営している青山は7年前に妻を亡くし、一人息子の重彦と寂しい日々を過ごしていた。そんなある日、青山の身の上を案じた友人の吉川は、映画制作と称したオーディションを開催し、その中から再婚相手を探すことを提案する。最初は乗り気ではなかった青山だが、オーディションに現れた女性、麻美に出会い、加速度的に魅了されていく。だが、少しずつ明らかになった麻美の素顔は……。

『東海道四谷怪談』(1959年) / 怪談映画の最高傑作として知られている。

鶴屋南北が創作した有名な怪談話を怪談映画の名手・中川信夫監督が天知茂主演で映画化。「戸板返し」や、お岩が醜く腫れ上がった顔の髪を梳く場面、など、原作の見せ場も忠実に映像化された。

備前岡山でお岩の父・四谷左門を斬殺した民谷伊右衛門は、その事実を隠し、お岩姉妹を連れて江戸・四谷左門町に移り住む。ある日、伊藤喜兵衛の娘・お梅を助けたことで立身の道が開けた伊右衛門は、お梅との祝言を決意し、邪魔になったお岩の殺害を計画する。

備前岡山で、逆恨みからお岩(若杉嘉津子)の父・四谷左門(浅野進治郎)を斬殺した民谷伊右衛門(天知茂)は、その秘密を隠しながら、現場を目撃していた直助(江見俊太郎)やお岩・お袖(北沢典子)姉妹らを連れ江戸・四谷左門町に移り住んだ。江戸に来たものの仕官の口すらなく気持ちが焦る伊右衛門は、妻・お岩に日々つらく当たっていた。ある日、無頼の徒に迫られていたところを助けたことから、伊藤喜兵衛(林寛)の娘・お梅(池内淳子)と接近する。目の前にぶら下がる立身と金の誘惑に抗いきれず、伊右衛門はお梅との祝言を決意し、邪魔な存在となったお岩の殺害を計画する。直助の悪知恵と按摩・宅悦(大友純)の力を借り、南蛮渡来の毒薬を飲ませることで、病床に着いていたお岩は絶命する。お岩の強い復讐心は、亡霊となって伊右衛門を次々と恐怖に陥れる・・・。

新東宝【公式】チャンネル「東海道四谷怪談 予告編」

返える戸板に釘打ちの怨霊!!怨みに燃える鬼火の戦慄!

実際の事件を元に鶴屋南北が創作した、あまりにも有名な「四谷怪談」。
この怪談話を中川信夫が映像化した日本怪談映画の最高傑作。
冒頭の移動ワンカット撮影他、原作を意識しながらも独特の美学、美意識で表現されている。

原作/鶴屋南北 脚本/大貫正義、石川義寛 監督/中川信夫
主な出演/天知茂、若杉嘉津子、江見俊太郎
1959年公開 カラー・スタンダード 76分

『リング』シリーズ / 映画史を代表する邦画のホラーアイコンと化した「貞子」の誕生。ジャパニーズホラーブームの火付け役となった。

リング(1998年)

『リング』は、日本の作家である鈴木光司によるミステリ・ホラー小説。見た者を1週間後に呪い殺す「呪いのビデオ」の恐怖と、その来歴に迫ろうとする主人公を描く。1998年には東宝の配給で『リング』『らせん』が同時に映画化された。

リングシリーズ一覧
  • 『リング』(1998年)
  • 『らせん』(1998年)
  • 『リング2』(1999年)
  • 『リング・ウィルス』(1999年/韓国)
  • 『リング0 バースデイ』(2000年)
  • 『ザ・リング』(2002年/アメリカ)
  • 『Rings(原題)』(ショートフィルム)(2005年/アメリカ)
  • 『ザ・リング2』(2005年/アメリカ)
  • 『貞子3D』(2012年)
  • 『貞子3D2』(2013年)
  • 『貞子 vs 伽椰子』(2016年)
  • 『ザ・リング・リバース』(2018年)

山村貞子の登場シーンまとめ動画(リング 0, 1, 2)

山村 貞子(やまむら さだこ)は、終盤ではテレビから這い出てくる恐ろしげな怪物として描かれた。山村 貞子(やまむら さだこ)は、終盤ではテレビから這い出てくる恐ろしげな怪物として描かれた。

映画版で描かれた「TV画面から現れる『貞子の恐怖』」については様々なメディアで扱われ、パロディーなども多く作られた。

山村 貞子(やまむら さだこ)は、「見た者が必ず一定期間ののち死に至る」という“呪いのビデオ”の恐怖を描いた鈴木光司の小説「リング」(91)を原作に実写化した映画『リング』(98)のクライマックスシーンにおいて、TV画面から這い出て呪われた人物を死に至らしめる姿が世紀末の日本に大きな衝撃を与え、一躍誰もが知る存在となった怨霊。“呪いのビデオ”を媒介にビデオを見た者を呪い殺すリング・ウイルスを拡散する。白いワンピース姿に顔を覆い隠す長い黒髪が最大の特徴で、井戸やTV画面から出てくる姿で知られている。

ホラー史に残る山村 貞子のラストカットの有名な恐怖ビジュアル。恐ろしすぎる。ホラー史に残る山村 貞子のラストカットの有名な恐怖ビジュアル。恐ろしすぎる。

「そのビデオを見ると、一週間後に死ぬ」
<ビデオに殺されるなんて。>ちまたに勃発する原因不明の突然死。呪いが込められたビデオテープの存在の噂は、都市の人々の間に急速に広まっていった。浅川玲子(松嶋菜々子)は、ある事件を追いかけるうちにそのビデオテープを観てしまう。そのビデオには観たものを7日間の期間で確実に死に追い込むという、恐怖の呪縛が潜んでいた。玲子は別れた夫の高山竜司(真田広之)に相談するが、彼もまたそのビデオを観てしまう。息詰まるような限られた時間の中で、彼らは生き残りをかけてその謎に挑む。

小芝風花 主演 “貞子”シリーズ最新作『貞子DX』、2022年10月28日(金)全国ロードショー!

映画『貞子DX』特報

“見た者が必ず一定期間ののち死に至る”という「呪いのビデオ」の恐怖を描いた鈴木光司のホラー小説を原作に実写化した映画『リング』。TV画面から這い出る“貞子”の姿が、世紀末の日本に大きな衝撃を与えて約四半世紀。国内外で幅広い世代に高い認知度を誇り、2019年にはニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100」にも選出された、世界的ホラーアイコン“貞子”のシリーズ最新作『貞子DX』が2022年秋に全国公開!

【ストーリー】
“呪いのビデオ”を見た人が突然死する事件が全国各地で発生。IQ200の大学院生・一条文華(小芝風花)は、人気霊媒師のKenshin(池内博之)から謎の解明を挑まれ、自称占い師の前田王司(川村壱馬)とともに “呪いのビデオ”の謎を解明すべく奔走する ー。

『呪怨』シリーズ / みんなのトラウマの恐ろしい怨霊の佐伯伽椰子。「リング」シリーズとともに本格的なJホラーブームの到来を印象付けた。

呪怨 劇場版(2003年)

『呪怨』(じゅおん)は、2000年に発売された清水崇監督・脚本によるホラーのビデオ作品。また、それを原作とする2003年1月25日に単館系で公開されたホラー映画。劇場版は、2003年8月23日に続編が公開された。みんなのトラウマの恐ろしい怨霊の佐伯伽椰子。「リング」シリーズとともに本格的なJホラーブームの到来を印象付けた。

『呪怨』シリーズ一覧

  • 『呪怨』(1999年・オリジナルビデオ版)
  • 『呪怨2』(1999年・オリジナルビデオ版)
  • 『呪怨』(2002年・劇場版)
  • 『呪怨2』(2003年・劇場版)
  • 『呪怨 白い老女』『呪怨 黒い少女』(2009年)
  • 『THE JUON/呪怨』(ハリウッドリメイク版・2004年)
  • 『呪怨 パンデミック』(ハリウッドリメイク版・2006年)
  • 『呪怨 ザ・グラッジ3』(ハリウッドリメイク版・2009年)
  • 『呪怨 ー終わりの始まりー』(2014年)
  • 『呪怨 ーザ・ファイナルー』(2015年)

呪怨: 佐伯 伽椰子 & 佐伯 俊雄

リングシリーズの「貞子」と並んで根強い人気を誇る人気ホラーキャラクターの「佐伯伽椰子」は稀に見るとんでもなく質の悪い怨霊。「呪怨」シリーズでは佐伯家の自宅は呪いの家と化しており、それに関わった相手を全て呪い殺す悪霊(伽椰子の亡霊)の住処として登場する。

登場するキャラクター佐伯伽椰子の声やその子供である佐伯俊雄の姿は見るものに強烈なインパクトを残し、映画『リング』の山村貞子と並んでコントパロディに使用されることが多い。日本ホラーでは、霊の直接的な露出を避ける傾向にあるが、『呪怨』シリーズでは直接的な霊の登場がかなり多く、どれも恐ろしいものばかりである。

呪怨 劇場版(2003年)

劇場版1作目は新たに佐伯家に越してきた一家と、介護施設から派遣されてきた女性スタッフの話がメイン。徳永仁美(演:伊東美咲)徳永仁美(演:伊東美咲)の布団の中に表れた佐伯伽椰子

ある日、介護ボランティアをする女子大生の仁科理佳(演:奥菜恵)は、寝たきりの老婆・徳永幸枝の様子を見るためその家を訪れた。理佳は何か不気味な雰囲気を感じつつも家の中へと入っていく。悪臭が漂い物が散乱する中を進み、一階の薄暗い部屋で幸枝を発見する理佳だったが…。数日前、幸枝の息子・勝也が帰宅すると妻が倒れていた。この家に引っ越して以来、一家は不吉なことに見舞われ続けていた。やがて勝也の妹・仁美が不審に思いこの家にやって来るが、どこか様子のおかしい勝也に門前払いされてしまう。これを機に、仁美にも不吉なことが憑きまとうようになり…。

『着信アリ』

着信アリ(2004年)

『着信アリ』(ちゃくしんアリ)は、角川書店が刊行した秋元康原作のホラー小説シリーズである。現代社会の必需品ともいえる携帯電話を題材にしており、死の予告電話がかかってきた人物がその予告通りに死を遂げるストーリー。主人公は全て女性であり、日本、台湾、韓国などを舞台にしている。「リング」「呪怨」とともにJホラーブームを担った。


着信アリ(2004年)予告編

来る。>ある日、友人の携帯に届いた奇妙なメッセージ。そこには、その友人の声で身の毛もよだつような悲鳴が録音されていた。発信者の番号は友人本人の番号。着信時刻は3日後の時刻。その場はいたずらだと軽く片付けたが、数日後その友人は録音とまったく同じ悲鳴をあげて着信時刻に死んだ。同様のことが次々起こる。携帯を通じて伝播する死の予告。そして、とうとう自分の携帯が鳴った…

大竹しのぶ主演『黒い家』 / 保険金詐欺夫婦による恐怖を描いたサイコ・ホラー。

『黒い家』(くろいいえ)は、貴志祐介による日本のホラー小説・ホラー漫画及びそれを原作とした日本と韓国のホラー映画。
1999年には、森田芳光監督、内野聖陽・大竹しのぶ主演で映画化された。菰田幸子(演:大竹しのぶ)を最大限に生かしたサイコホラー。とにかくサイコパスの菰田幸子(演:大竹しのぶ)が怖い。

「この人間には心がない」 現代人の心の闇をえぐり出す 傑作リアル・サイコ・サスペンス!この恐怖体験、最期まで耐えられるか!?

若槻は保険の営業のため訪れた菰田重徳の家で子供が首を吊った状態で死亡しているのを発見してしまう。事件の疑いが濃厚な事案であったことに加え、菰田家には以前にも自傷とも疑われる不可解な保険金請求があったことから、若槻の会社では保険金の支払いを保留していたが重徳は執拗に支払いを求める。疑念を抱いた若槻は、一連の事件の首謀者を重徳と推測、妻の幸子に注意を促す匿名の手紙を送るのだが…。

サイコパスな殺人鬼役を演じた大竹しのぶ

若槻慎二(演:内野聖陽)を組み敷いてキスをした後に、自身の乳房を吸わせ、「乳しゃぶれー!へたくそー!」と罵った。誰もいない会社で、若槻を襲撃する幸子。死闘の末、若槻は幸子を殺害して助かるが、彼の心の傷が癒えるまでには相当の時間がかかりそうである…。

『青春の殺人者』

『青春の殺人者』は、1976年公開の日本映画。長谷川和彦監督、水谷豊、原田美枝子主演。深い理由もなく、行きがかりから両親を殺してしまった青年とその恋人の末路を、突き放した視点から描く。『青春の殺人者』は、1976年公開の日本映画。長谷川和彦監督、水谷豊、原田美枝子主演。深い理由もなく、行きがかりから両親を殺してしまった青年とその恋人の末路を、突き放した視点から描く。

不確かな理由で両親を殺害してしまった青年の破滅への道を冷徹なまなざしで描いた衝撃作。厳格な両親のもと、溺愛されて育った22歳の青年、斉木順。気ままな行動で振り回す父や、過保護で色々と指図して子供扱いする母に反発している。恋人・ケイ子との交際を両親から咎められ激昂の末、父親を刺殺した。成田空港近くでスナック『キャサリン』の雇われマスターをする斉木順(演:水谷豊)は、恋人・常世田ケイ子(演:原田美枝子)との交際を両親から咎められ激昂の末、父親を刺殺した。

親に与えられたスナックの経営を始めるが、ある日、両親にスナックで手伝いをしている幼なじみのケイ子と別れるよう迫られる。口論の末、父親を殺してしまい、さらには行き違いから母親までも刺し殺してしまう。帰宅した母親(市原悦子)は自首するといいはる順に遺体を海に捨て二人で別の土地に逃げのびようと説得するが・・・この映画の最大の見せ場とも言える母親との口論から殺害に至るシーン。

帰って来た母は最初は驚愕するが、自首するという彼を引き止めた。こうなった以上、二人だけで暮そう。大学へ行って、大学院へ行って、時効の十五年が経ったら嫁をもらって、と懇願する。

だが、ことケイ子の話になると異常な程の嫉妬心で彼を責める。ケイ子と始めから相談して逃げようとしていたのだ、と錯乱した母は庖丁を手に待った。もみ合っている内に、彼が逆に母を刺していた。

『リリイ・シュシュのすべて』 / 現代の少年問題を描いた内容が大きな話題を呼んだ。

『リリイ・シュシュのすべて』は、2001年に公開された岩井俊二監督の日本映画。ウェブサイト上でBBSの形式を利用して、一般参加者との対話の中から物語を展開させた岩井俊二のインターネット小説から生まれた衝撃の問題作。14歳の少年少女たちの心の闇、焦燥、痛みを鮮烈に描き出す。イジメる側とイジメられる側のふたりの男子中学生の青春を、リアルに描出するドラマ。

この作品では中学生たちのいじめ、恐喝、万引き、援助交際、レイプ、殺人、自殺など社会の闇の部分を描いているため、過激な表現も少なくない。そのため役者には体当たりな演技が求められ、生徒役の少年が全裸で田んぼの中を泳いだり、人前での自慰行為を演じたり、少女に丸刈りにされたりしている。

映画『リリイ・シュシュのすべて』TVspot 240秒

田園が美しいある地方都市。中学二年の蓮見雄一(市原隼人)は、かつての親友、星野(忍成修吾)にいじめられ、窒息しそ うな毎日を送っている。唯一の救いはカリスマ的歌姫リリイ・シュシュの歌声だけ。自らが主宰するファンサイト「リリフィリア」の中にいるときだけが本当の 自分でいられる瞬間だった……。

小林武史によるリリイ・シュシュのサウンドと、田園風景を包み込むドビュッシーのピアノ曲が、「十四歳」の少年少女たちの痛みと焦燥、そして内側に隠れたイノセンスを、リアルに、強烈に描き出す。

「マタンゴ」/ 怪キノコ・マタンゴの恐怖を描いた傑作ホラー。

『マタンゴ』は、1963年8月11日に公開された日本の特撮ホラー映画。変身人間シリーズの番外編的作品。今日でもSFやホラー映画マニアの間で語り継がれる作品である。また、カルト映画の1つとしても知られている。本作品を観てキノコが食べられなくなった人もいる。

マタンゴ 予告編
完全に崩壊していく人間関係。人間のエゴや未知の生物の恐怖など様々な要素が絡み合った傑作。

7人の若者を乗せたヨットが、嵐のため無人島に漂着した。その島を探索した結果、彼らより先に、一艘の難破船が漂着していたことが判明する。だが乗員の姿はどこにもなく、ただあたりは奇妙な形状のキノコが群生しているのみだった。やがて食料の残りが少なくなり、彼らは恐る恐るそのキノコを食し始める。そしてそのキノコを口にした者は、人間の姿を失い、奇怪なキノコ・マタンゴへと変身していくのだった……。

マタンゴ(変身途上):天本英世マタンゴ(変身途上):天本英世

マタンゴは、劇中では、「どこかの国が行った水爆実験の放射線によって変異したキノコを食した人間の成れの果て」と設定されている。マタンゴを食した者は、全身を次第に胞子で覆われるにつれて知性が失われ、成体(キノコ人間)への変身と共に人としての自我は消失し、怪物への変異が完了する。麻美役の水野久美も最初は笑っていたが、だんだん不気味になっていき、特に天本英世のメイクが怖かったと述懐している。

救いのない後味が悪いラスト

唯一キノコに手を出さず怪物の魔手からも逃れ、ヨットで島を脱出した村井は幸運にも救助され、こうして病院へ収容されることとなったが、そこは精神病院の鉄格子の中だった。

難を逃れたはずが狂人として隔離されてしまった村井は、「戻ってきてきちがいにされるなら、自分もキノコを食べて恋人と島で暮らしたほうが幸せだった」と後悔し、窓から平和な東京の町を眺めて悲観に暮れながら鉄格子の方を振り返る。病院関係者たちの好奇と畏怖の注目を集める村井の顔には、彼が島で見たマタンゴが生え始めていた。

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