『名探偵コナン』は、国民的アニメとして大人気の不朽の名作ですが、初期の殺人事件においては、残酷描写・スプラッター描写が多く、恐ろしいトラウマ回の宝庫でした。今の放送基準では初期のグロ系事件は自主規制なしには放送できないでしょう。『山荘包帯男殺人事件』『図書館殺人事件』『青の古城探索事件』『雪山山荘殺人事件』『赤と黒のクラッシュ(殉職)』など読者や視聴者にトラウマを植え付けた事件をまとめています。
初期の『名探偵コナン』のグロ回・ホラー回 / 残酷描写・スプラッター描写が多い恐ろしいトラウマ回
『ジェットコースター殺人事件』 / ジェットコースターに乗っていた男性の頭部が切断されたショッキングな事件。
【公式】名探偵コナン「ジェットコースター殺人事件」| シーズン1 第1話
『ジェットコースター殺人事件』は、『名探偵コナン』の記念すべき第1話。単行本1巻に収録されている。 アニメ版は1996年1月8日に放送された。
偶然居合わせた高校生探偵、工藤新一はピアノ線を被害者の首にかけ、反対側をコースターのレールに引っかけることにより、コースターの力を利用した殺人事件だと推理。
犯人はコースターが暗闇の中にいる間に被害者の首にピアノ線をかけていた。
原作漫画では、首を切断され、血が噴水のように流れるグロいところも描かれた。この首が飛ぶシーンは、初期の原作漫画『名探偵コナン』の典型的な残酷描写・スプラッター描写として非常に有名なトラウマシーン。
アニメ版『ジェットコースター殺人事件』では、当時は19時30分というゴールデンタイムの放送という事もあって、首が飛ぶシーンは白い光が吹き出すような表現になっており、血が噴き出す描写は無い。
岸田(きしだ)は、暗闇のトンネルに入った中で、昔の彼女だったひとみに、かつてプレゼントしたネックレスを線路と首に繋げるようにかけられ、その結果首を吹っ飛ばされて殺害された。
『山荘包帯男殺人事件』 / 池田知佳子の胴体を起こそうとした瞬間に首が落ちるシーンは多くの視聴者にトラウマを植え付けた。
池田知佳子の胴体を起こそうとした瞬間に首が落ちるシーンは多くの視聴者にトラウマを植え付けた。
『名探偵コナン』は、青山剛昌原作の推理漫画作品であり、本作を原作とした一連のメディアミックス作品の総称。1996年から放映開始されたテレビアニメも高視聴率を誇り、2016年には20周年を迎えた国民的作品である。1997年から毎年4月、劇場版映画が公開されており、2018年現在、最高興収が90億円を超えるなど絶大な人気を誇っている。
『山荘包帯男殺人事件』は、テレビアニメ『名探偵コナン』第34話・第35話として1996年10月21日・28日に放送。単行本第5巻に収録されている。「包帯男」に池田知佳子(いけだ ちかこ)が連れ去られてしまい、森の中で知佳子を探すが、森の中でバラバラとなった知佳子の死体が発見される…。
池田知佳子が包帯男にさらわれたように見せる場面を作り上げたのもピアノ線と人形、それに被害者の首を使ったトリックであり、大道具係だった高橋であれば難なくできる芸当だった(当時いた場所からしても、彼以外に可能な人間はいなかった)
池田知佳子は、受賞作「青の王国」は徳本敦子が書いた作品「空色の国」の盗作だったため、彼女が自殺する原因を作ってしまう。「青の王国」をネタに森の中に呼び出されて、斧で首を切断された後、首と片手片足を切断される。
胴体を起こそうとした瞬間に首が落ちるシーンは多くの視聴者にトラウマを植え付けた。
テレビアニメ版『名探偵コナン』の事件現場の血は凄惨な印象の赤い血でなく、黒い血にする配慮が取られていた。2000年頃からは原作では開いていた被害者の目がアニメでは閉じていたり、遺体がシルエットのように表現されたり一部のみ見せたりするなど、『金田一少年の事件簿』同様描写が抑えられるようになった。
なお、劇場版では血や遺体などが原作のように描写されるなど、若干緩和されている。
高橋良一は、太っているように見えるが、実は標準体型。生首を腹に入れて運ぶトリックに利用する。
高橋良一は、この事件の真犯人「包帯男」。太っているように見えるが、実は標準体型。ゴム人形や知佳子の生首を腹に入れて運ぶトリックに利用すると同時に、包帯男との体型の違いから容疑者から外れることにも利用した。
原作漫画では、斧で首を切断する残虐な首チョンパ・スプラッター描写も描かれた。
高橋良一「首をちょん斬(ぎ)ってやったのさ!敦子の夢を踏みにじったあのメスブタの首をなぁ!!」
事件の動機は自殺した徳本敦子(とくもと あつこ)の復讐。敦子の自殺の動機は、知佳子が敦子が書いた小説「空色の国」を盗作して、「青の王国」として発表したことだった。高橋は、敦子の自殺に前日に敦子からもう誰も信じられないと言われたこと、さらに「青の王国」の内容が、以前に敦子から見せてもらった「空色の国」と全く同じだったことで盗作に気付くことになる。そして、高橋は敦子の無念を晴らすために、原因を作った知佳子を同窓会で殺害をしようと画策していた。体系を利用したトリック。太っていると思わせていたため、誰にも気づかれず、お腹に首を入れて運ぶことができた。
『雪山山荘殺人事件』 / 大山将(おおやま まさし)が死の間際に血まみれになりながらもがく様子は、下手なホラーより怖いとトラウマになった人も多い。
正座して血まみれで目を見開き、絶命した大山将(おおやま まさし)の死体は、下手なホラーよりも恐ろしくトラウマになった人も多い。
『雪山山荘殺人事件』は、『名探偵コナン』単行本第10巻と第11巻に収録されている。テレビアニメでは第46話として、1997年2月3日に放送された。
大山将(おおやま まさし)は、アイスとメロドラマが好きで、放送時間には居間で1人になってメロドラマを見ていた。その最中に何者かに襲われて縛られたあげく、包丁で肺に穴を空けられて15分ほど苦しんだ末に窒息死する。
将棋盤に見立てたテーブルクロスの上に、将棋の駒に見立てたライターを置く事でダイイング・メッセージを完成させる。その後はその座り方から将棋の対局を連想させるために、わざわざ正座をして死亡した。
ライターを置いた場所は「香車」の初期配置に当たるカドのマス目で、そこに置く事で「香車=中原香織=犯人」だと皆に知らせようとした。中原香織は、包丁で大山将の肺に穴を空ける。死の間際に血まみれになりながらもがく様子はトラウマ級の恐ろしさだった。
蘭「これは香車!!」
小五郎(コナン)「つまり、これは中原香織さん、あなたを示したダイイングメッセージなんですよ!」
彼が死の間際に残したダイイング・メッセージは、今回の事件関係者の名前に「将棋の駒」を意味する言葉が含まれているのを利用したもので、テーブルクロスの模様を将棋盤に見立てて犯人の名前を残した。ちなみに彼が生前に言っていた「馬がほしかった…」の馬は「桂馬」の事を指していたのだ。
『図書館殺人事件』 / 津川館長の豹変した姿は視聴者にトラウマを植えつけた。伝説の恐怖回。
【公式】名探偵コナン「図書館殺人事件」| シーズン2 第50話
『図書館殺人事件』は、『名探偵コナン』単行本第10巻に収録。テレビアニメでは第50話として、1997年3月3日に放送された。
津川館長とは、名探偵コナンの登場人物である。本名:津川秀治。穏やかな物腰からは想像のつかない凶行と言動で読者にトラウマを与えた。アニメ版の津川館長の演出は恐ろしいホラー演出であった。アニメ版では演出が強化され、人間をやめてしまったかのような表情とホラーSEを引っさげて甦った。
本性は、偽装した本の中に大量の麻薬を隠して売り捌き、麻薬の存在を偶然知った職員の玉田和男を口封じのために殴打して失神させ首を絞め殺害した極悪人。
津川館長が殺害した玉田和男の死体の隠し場所は死角となっているエレベータの天井だった。
津川館長「どうしたんだい?ボウヤ達…こんな時間に…」
ちょうど下の階から上がってきたエレベータの中に津川が乗っていたのである。コナンたちは津川がもうすでに帰った後だと思っており、さらには死体が乗っていたエレベータから急に現れたため驚きを隠せなかった。
『美術館オーナー殺人事件』 / 米花美術館のオーナーである真中が剣で喉元を串刺しにされて殺されていた。
美術館に出かけたコナンと小五郎と蘭は、館内でオーナーの真中が絶命しているのを発見。
真中は喉を剣で串刺しにされていた。防犯カメラには、背後から真中の左肩を斬りつける甲冑の騎士像の姿が映っていた。
『美術館オーナー殺人事件』は、『名探偵コナン』単行本第4巻に収録。テレビアニメでは第8話として、1996年2月26日に放送された。
中世の甲冑が勝手に動き出すという噂が立っている米花美術館に、面白そうだから行こうと言い出す蘭。コナンと小五郎は噂も客引きのために流した作り話だと最初は行く気がなかったが、蘭の実力行使により渋々行くことになる。
天空の間、大地の間、海原の間と周り、今まで封鎖されていた4つ目の地獄の間に立ち寄ったときに事件が起こった。地獄の間に飾られた『天罰』の絵に見立てられて、米花美術館のオーナーである真中が剣で喉元を串刺しにされて殺されていたのである。
米花美術館オーナー 真中 EP008「美術館オーナー殺人事件」
コナンたちが米花美術館を見回っていた時に、米花美術館の現オーナーの真中(まなか)は、地獄の間で剣で喉元を串刺しにされ、壁に磔にされて死んだ状態で発見されている。絵画「天罰」になぞらえた米花美術館・落合館長による美術館オーナーの真中殺し…真中は、前オーナーとの約束を破り、私利私欲のために美術館を取り壊そうとしたため、落合に殺されてしまう。
『骨董品コレクター殺人事件』 / 刀を構えたまま別の刀が突き刺ささっている丸伝次郎の惨殺死体。
丸グループ会長 丸伝次郎 EP016「骨董品コレクター殺人事件」
『骨董品コレクター殺人事件』は、『名探偵コナン』単行本第6巻に収録。テレビアニメでは第16話として、1996年5月20日に放送された。
丸グループ会長の丸伝次郎に、妻・稲子の浮気調査を頼まれた小五郎は、伝次郎にその結果を報告するために丸邸に訪れていた。浮気調査の報告中に丸邸に客が現れ、その客を離れへ案内してくると言って伝次郎は席を外すことになる。だが、二時間たっても伝次郎は戻って来ず、待っている最中に稲子や使用人が戻ってきてしまった。
稲子は離れから戻って来ない伝次郎を使用人に呼びに行かせ、自分の浮気調査についてごまかすように小五郎に依頼をしようとした時、呼びに行った使用人たちは悲鳴を上げた。
その悲鳴にコナンたちは離れに駆けつけると、そこには刀傷だらけになっている部屋と、刀を構えたまま別の刀が突き刺ささっている伝次郎の惨殺死体という凄惨な光景だった。
骨董品コレクター殺人事件は、『ジェットコースター殺人事件』、『美術館オーナー殺人事件』に続く初期三大グロ事件とも評される。
丸伝次郎(まる でんじろう)は、刀を構えたまま、全身ズタズタのうえに別の刀が突き刺さった状態で死んでいるところを発見される。
夫人の浮気調査を報告するために、小五郎達は丸邸を訪れる。説明の途中、依頼人の伝次郎は、来客のため席を立つが、なかなか戻って来なかった。伝次郎を呼びに行ったお手伝いの悲鳴で、離れに駆けつけたコナン達が見たのは、惨殺された伝次郎の死体と、部屋中に残された無数の刀傷だった!
丸伝次郎(まる でんじろう)は、趣味で居合いを学んでおり居合道三段であり剣の腕前もあったため、当初は犯人と一戦交えた末に命を絶たれたと考えられていた。だが、刀の持ち方が写真の本人と逆であり、殺された後に故意に刀を持たされたことが発覚、部屋中の傷も何者かが斬り合ったと見せかけるための偽装だということが判明した。
丸伝次郎は、借金のカタとして預けていた名刀「菊千代」を勝手に売ってしまったことで諏訪雄二に殺されてしまった。最後の力を振り絞り、ダイイングメッセージとしてタンスに諏訪の名前を彫り込む。
諏訪雄二「気づいたら…私は床の間に飾ってあった彼の刀を取り、背中から一太刀に…そう…こんな…風に…ね!!!」
諏訪雄二は、タンスの引き出しを入れ替えて傷つけるとともに、部屋中に刀傷を残すことで、タンスのダイイングメッセージを目立たなくしようとしたが、刀傷が繋がっていない部分があることにコナンに気づかれてしまった。
「赤と黒のクラッシュ(殉職)」 / 衝撃のラスト…赤井秀一は、黒の組織の一員・キールによって頭を撃ちぬかれ、さらに車ごと爆発させられてしまう。
アニメ『名探偵コナン』第504話「赤と黒のクラッシュ(殉職)」にて、『名探偵コナン』屈指の名シーンのひとつである赤井秀一の殉職場面が描かれる。
赤井秀一は、水無怜奈からのメールで19時に来葉峠に来るように要求され、ジェイムズの制止を振り切り単独でその場に向かう。無事に怜奈と落ち合う事は出来たが、到着して早々あの方から「赤井抹殺」の命令を受けた怜奈に胸を撃たれてしまう。
周辺を見回した赤井はジンの車を発見し状況を把握する。
フン…そういう事か…
赤井秀一「フン…」「まさかここまでとはな…」
水無怜奈「私も驚いたわ…こんなにうまく行くなんて…」
怜奈はジンから「頭を狙え」と命じられて実行し、赤井の頭を撃ち、止めを刺す。頭を撃ち抜かれ、赤井秀一が死亡するという衝撃的な展開に…。
怜奈は罪悪感を覚えながらも後始末の為に赤井の側に爆弾を設置、立ち去った後で作動させて彼のシボレーごと証拠を隠滅した。
悪く…思わないでね…
その後赤井の遺体はたまたま近くにいた警官らによって発見されるも、既にその遺体は身元が分からなくなるほど焼けており、かろうじて焼け残った右手からでしか特定は不可能となってしまっていた……
赤井秀一の殉職の真相…赤井は生きている。
黒の組織から「キール」というコードネームが与えられている水無怜奈。その正体は本堂瑛海という本名を隠すCIAの人物であり、スパイとして黒の組織に潜入していた。
キールはFBIの管理下に置かれたことで黒の組織からスパイなのではと疑われてしまう。江戸川コナンはこれを読み、キールに赤井秀一をあえて殺害させることで彼女を黒の組織に復帰させた。
焼死体の指紋と赤井の指紋が一致したため赤井死亡とされたが、焼死体は497話「赤と黒のクラッシュ (覚醒)」で拳銃自殺した組織の一員・楠田陸道のものだった。
『青の古城探索事件』 / 老婆のような容姿の「間宮マス代」(本名は「西川睦美」)は、『図書館殺人事件』の津川館長に引けを取らない位かなりコワい犯人。主要人物が次々と襲われる演出が恐ろしいトラウマ回・ホラー回として名高い。
『青の古城探索事件』は、『名探偵コナン』単行本第20巻と第21巻に収録されている。テレビアニメでは第136・137話として、1999年2月22日・3月1日に放送。「間宮マス代」(本名は「西川睦美」)「どうしたんだいお嬢ちゃんたち…声がするから様子を見に来たんじゃが…おや?もう一人のお友達はどこかえ…?」
間宮マス代(偽者)は、今回の事件の犯人。実は城の財宝を狙いマス代とすり替わっていた全くの別人。
本名は「西川睦美(にしかわ むつみ)」といい、間宮家で雇われていた元使用人で元家政婦。実年齢は不明だが、声は似ていたらしい。宝目当てでこの城に来たことがマス代にばれてクビにされそうになった為、監禁してすり替わる事を思いつく。
顔は整形で、多少分からない事があった時はボケたふり(アニメでは「記憶が混乱しているふり」)で誤魔化していた。整形で顔をそっくりに変えられても実の娘や長年使えた使用人、親しい仲の友人までは欺けないと踏んで、マス代の誕生日と城の隠し通路を利用し全員まとめて焼き殺す。財宝の為に合計17人も手にかけた、明確な被害者数が確認できる限り、コナン史上類を見ない大量殺人を行ったド外道な犯人。
老婆の姿で暗闇から追いかけてきたり、灰原哀を床下に引きずり込もうとしたりするなど、津川館長と並び称される程の恐ろしい犯人。アニメ版ではその恐怖性が更に強調されていた。